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【食が細くても大丈夫】体を大きくするために“量より質と回数”を意識しよう|少しずつの積み重ねが未来を変える!

「もっと食べろ!」「体を大きくしないと通用しない」
そう言われ続けてきたけど、実際にはなかなか食べられない。
無理に詰め込んで気持ち悪くなったり、頑張って食べても体重が増えない。

そんな“食が細い高校球児”にこそ届けたい――
これは、**「量」でなく「質と回数」**で体をつくる、そのような視点の記事です。
自分のペースで、少しずつ強くなる方法を一緒に考えてみませんか?
(私自身も高校時代は、食が細く体重が増えず、辛い経験をしました。ただ100%言えることは、もし体重が10kg違ったら、その後の私の野球人生は大きく変わっていたと思います。)

(まぁ細い。笑 最後の夏の大会は166cm 体重53kgでした。いやらしさはあっても、ピッチャーからしたら、投げるのは全く怖くなかったでしょう。)

食が細い選手が抱えるリアルな悩みとは?

  • 食べるのが遅い、すぐに満腹になる
  • 練習後に疲れていて、夕飯が進まない
  • 頑張って食べているけど体重が増えない
  • 「食が細い=努力不足」みたいに言われるのがつらい

実は、筆者である私自身もその一人でした。
高校時代、どれだけ食べても体重が増えず、10kg違えばプレーも違ったはずだと今でも思います。

補食の重要性も知らず、ただ3食を必死に詰め込む毎日。
満腹のつらさも、増えない悔しさも、どちらも痛いほど分かっています。

だからこそ伝えたい。「もっと食べなきゃ」は、もう卒業していい」
あなたの体と向き合いながら、“今できること”を少しずつ続けていくことが大切です。

たしかに、体重が増えないのであれば、トレーニングや睡眠、水分補給など日常生活の見直しも大切です。
そして、やはり今よりも摂取するエネルギー量を増やすことも必要でしょう。
だから、「もっと食べなきゃ」という考えは間違っていません。
ただ、それを実現するには、“どう食べるか”という工夫も欠かせません。
無理に詰め込むだけでは、うまくいかないし、何より本人がつらくなってしまいます。
きっと今でも、選手たちは一生懸命食べようと頑張っているはずです。

食が細いのは「気合い」や「性格」の問題じゃない!

遺伝や体質も関係している

  • 遺伝的に基礎代謝が高い人は、安静時でも多くのカロリーを消費しやすく、体重が増えにくい
  • 胃腸の消化・吸収能力にも個人差があり、体質的に一度に多くを取りにくい人もいる
  • ストレスや睡眠不足によるホルモンバランスの乱れも、食欲や吸収に影響する

👉「食が細い=根性が足りない」は大きな誤解です。

選手本人も、保護者も、「そういう体質かもしれない」という視点で向き合ってみると、
プレッシャーではなく、一緒に“工夫する仲間”として関わることができます。

ちなみに、私自身も大人になってから遺伝子検査を受けました。
その結果、基礎代謝が高く、風邪をひきにくい体質であることがわかりました。
普段から体が引き締まりやすく、健康には良いのですが――
アスリートとしては筋肉量を増やしにくく、「体を大きくしたい」という目的においては最も苦労する体質かもしれません。

トンガやフィジー出身のラグビー選手を間近で見てきましたが、彼らは少し食べてトレーニングしただけで体重も筋肉もぐんぐん増えていきます。
中には「これ以上増えすぎるからもうやらない」という選手もいて、正直、うらやましいと思ったこともあります。

「量より質と回数」で考える体づくりの戦略

🥄 一気に食べなくていい。分けて食べる「5回食」のすすめ

  • 3食+補食2回(午前練後、夕方 or 就寝前)
  • 1回で無理に食べず、「こまめに少しずつ」が続けやすい

*4時間に1回食べる。選手にはそのようなこともよく伝えています。

🧃 飲めるものでも栄養は摂れる

  • スープ、味噌汁、スムージー、飲むヨーグルト、プロテインドリンクなど
  • 「固形が苦手でも“飲む+ちょっと食べる”」で栄養を補える

*朝ごはんに+1品。補食で追加1品から始めていきましょう。

🍳 栄養密度の高い食材を選ぼう(少量でも中身が濃い)

栄養密度とは?

“栄養密度”とは、食品の重さやカロリーあたりにどれだけ多くの栄養素が含まれているかを示す指標です。食事量が少ない選手ほど、この“密度”が高い食材を選ぶことで効率よく栄養摂取ができます。つまり、たくさん食べられないなら、少しの量でしっかり栄養がとれるものを選ぶのがコツです。

  • 卵、バナナ、干し芋、鮭、ツナ缶、サバ缶、納豆、豆腐、味噌汁、ナッツ
    *鮭・鯖缶の味噌汁や炊き込みご飯などおすすめです。

例えば、味噌汁に手で折った素麺をそのまま煮込んだり、冷凍のコーンを入れたり、ちょっとした差ですが、同じ味噌汁でもエネルギー量を増やすことにつながります。この少しの追加で劇的に体重が増えるわけではありませんが、この意識が増量につながります。毎日1%の積み重ね。1年継続できれば、ものすごい差になります。

🥣 少量でも“中身が濃い”おすすめメニュー集

🥄 朝食(食べづらい朝もOKなメニュー)

  • 具だくさん味噌汁+おにぎり1/2個+バナナ
  • トースト1枚(ピーナッツバター)+飲むヨーグルト
  • 卵かけごはん(半量)+スープ+フルーツ少々

*まずは、何でもいいので朝ごはんで口にすることをやりましょう。朝ごはんを食べずして、体重増やしたいですというのは、さすがにその考えは甘いです。

🍱 練習後の補食(胃にやさしく栄養補給)

  • 干し芋+ゆで卵
  • おにぎり(鮭・ツナ・など)+オレンジジュース
  • カステラ1切れ+牛乳

🌙 就寝前の軽補食

  • 牛乳+バナナ/飲むヨーグルト
  • 果汁ゼリー+ナッツ
  • プロテインドリンク+クラッカー

🍙 おにぎりは“最強の体づくりアイテム”

おにぎりは、工夫次第で栄養密度をグッと上げられます。

  • 味がついていることで食べやすく、ごはんの量も自然に増える
  • 中身にツナ・鮭・卵・チーズ・肉味噌などのタンパク源を入れると、栄養価アップ
  • 常温で持ち運びやすく、補食にも便利

👉 「食べきれないかも…」というときでも、“ひと口からスタート”できる優秀メニューです。

食べる力を育てるために必要な“見えない土台”

😴 睡眠がとれていないと、胃腸も動きづらい

→ 寝不足で朝食が入らない選手は多い。まずは睡眠から整えよう

*早く寝て、気持ちよく起きる。意外と見過ごされているのではないでしょうか。増量においても重要なポイントです。

💧 水分不足は内臓疲労につながる

→ 汗の量が多い選手ほど、消化吸収も乱れやすい。こまめな水分補給を。常に潤う体を作ること。また口の渇きも喫食量に影響を与えます。練習後、補食を食べる前にうがいするだけでも食べやすさが変わってくると思います。

🧠 疲労が抜けないと、体も食べ物を受け付けない

→ 練習強度が高い日は、胃に優しい補食中心でもOK。焦らないことが大事。ただ、強度が高ければ高いほど、必要なたんぱく質量は増えるので、疲れていて何も食べないとなるとリカバリーも追い付かず、体重減少につながります。この場合は、先ほど話した通り、疲れがとれない理由はなにか?その中でも食べるためにはどんな工夫をするか。足りない分は次の日にどのようにカバーするか。このような考えにならないと体重は増えないままです。できることをやりましょう。

“マラソンのように少しずつ”を続けることが、いちばんの近道

体づくりは、短距離走ではなくマラソンです。
今日一口でも多く食べられた。それだけでも十分な前進。

「1日3食、がんばらないといけない」じゃなくて、
「まずは朝にスープを1杯」から始めるのが、体を変える第一歩。

続けられる形で、“食べられた自信”を積み重ねていきましょう。

特にこの時期は成長期でもあり、必要なエネルギー量は非常に多いです。また、身長が伸びている間は、なかなか体重は増えないかもしれません。身長が止まっても、そのあと生殖系の成長にエネルギーは必要となるので、すぐには体重は増えないかもしれません。それでも、毎日できることを続けていくことが、非常に重要です。

まとめ|「ちゃんと食べてないからだ」は、もうやめよう

  • 食が細いのは「本人の気合いが足りない」せいではありません。
  • 遺伝・体質・内臓の状態など、見えない要因があることを理解して
  • 量よりも、**質と回数。**そして、習慣と継続。
  • あなたの「少しずつ」は、必ず未来の自分を支える力になります。

栄養は吸収してなんぼ。無理矢理詰め込んでも、きついだけ。しかし、だからと言って食べないままでは確かに増量は難しいです。やはり、食べなければ体重は増えません。増量が難しい理由は、人それぞれあります。だからこそ、何が原因なのか。そして、そのためにはどこを見直す必要があるのか。その中でできることを継続していけば、体は変わってくるでしょう。1回の量だけでなく、こまめに食べる回数を増やす。そういった視点もぜひ持っておきましょう。

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私はこれまで、プロ・社会人・高校生など幅広いアスリートに向けて、
全国各地で年間50件以上の栄養セミナーや講演を行ってきました。
ラグビーチームに帯同しながら“試合現場でのリアルな食事設計”を行ってきた経験を活かし、
高校球児や保護者・指導者の皆さんにも、実践的で柔軟なサポートを行っています。

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