初心者向けファスティング実践ガイドと注意点〜栄養士が3日間のファスティングに挑戦〜「準備期の重要性と食事メニューの考え方」
2024/10/16
前回は、ファスティングの目的や期待される効果、注意点について紹介しました。今回は、実際に「準備期」で食べた食事メニューや過ごし方についてまとめました。https://hori3.com/archives/88
目次
ファスティング「準備期」の重要性
今回、3日間のファスティングを行ってみて、感じたことは、「断食期」より、「準備期」・「回復期」の過ごし方が大切だということ。「準備期」の目的としては、「ファスティングの効果を最大化すること」・そして、「ファスティング中の体の負担を和らげること」とされています。いきなり、断食を行うと、体に負担がかかり、体調不良のリスクが高まるとされています。「断食期」と同じくらい、「準備期」も日数をかける必要があります。今回、「断食期」が3日間なので、2日間の「準備期」を設けました。日程に余裕があるのなら、断食期と同じ日数を「準備期」に当てると良いのではないでしょうか?「準備期」での過ごし方によって、ファスティングの効果に差が出ると考えられます。この時期に、断食期のイメージを行い、予想される体の変化や症状を想定しておくことで、断食期もスムーズに過ごせるのではないでしょうか?食事の時間や準備・片付けがないので、時間も比較的余裕があると思います。どのように過ごすかも、事前にイメージしておくことで、有意義な時間になるのではないでしょうか。溜まった本を読む時間や日頃手が届かない場所の掃除、新しい趣味などに挑戦してみてはいかがでしょうか?私は、断食期も順調で全く苦になりませんでしたが、中には、空腹で辛い思いをする方もいらっしゃると思います。「なぜ、ファスティングをしようと思ったのか?」・「達成したいことや真の目的は何か?」を準備期に再確認して、ファスティングを成功させるイメージとマインドセットを持っておきましょう。
「準備期」の食事について
準備期では、積極的に摂取したい食材と避けたい食材があります。大切なことは、「胃腸にやさしい食事をすること」胃腸での消化の負担を少なくすることで、断食期に備えましょう。急に断食すると身体が変化についていけず、対応しきれません。最大限ファスティングの効果を引き出すために、しっかり、食事からも準備しましょう。
準備期は「穀物・野菜・芋・豆・海藻・きのこ・ナッツ類」をうまく活用しよう
準備期では、胃腸の負担の少ない食事が基本的なベースとなります。「穀物(お米)・野菜・芋・豆・海藻・きのこ」をうまく組み合わせると良いでしょう。煮る・蒸す・茹でるなど、油を使わない調理法で汁物などもおすすめです。準備期では、動物性のタンパク質は減らしたほうが良いとされています。そうなると、たんぱく質が不足することにつながりやすいです。なので、豆腐や豆をうまく活用して、タンパク質を補いたいです。発酵食品もおすすめなので、「納豆」はうってつけでしょう。
準備期の食事で避けたい5つのこと
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油ものは避ける(揚げ物やバター・マヨネーズなど高カロリーのものに注意)
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動物性たんぱく質は控えめに (肉・魚・卵・乳製品)
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アルコールやカフェインの入った飲料(コーヒー・紅茶・緑茶など)は避ける
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砂糖の入ったものも避ける(白砂糖は消化に時間がかかるとされるため)
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満腹になるまで食べる(腹8分を意識)
2日間の「準備期」で食べた実際のメニュー
今回は、2日間の「準備期」を過ごしました。その時の実際のメニューや献立の考え方を消化します。胃腸の負担が少ない食事のポイントは「まごわやさしい」を意識すること。普段の食事でも意識してみてください。
- 「ま」→「まめ」
- 「ご」→「ごま」
- 「わ」→「わかめ(海藻)」
- 「や」→「やさい」
- 「さ」→「さかな」
- 「し」→「しいたけ(きのこ)
- 「い」→「いも」
準備期「1日目」の夕食〜海藻サラダを中心に体に優しく〜
メニュー
- ねばねばサラダ
- 豆腐の野菜あんかけ
- セロリと舞茸のスープ
ねばねばサラダ (副菜)
材料
- 山芋 30g
- オクラ 3本
- 海藻サラダミックス 10g
- 枝豆 15粒
- ポン酢 適量
おすすめ便利食材「海藻サラダ」
*水につけてもどすだけ
日々、不足しやすい「食物繊維」・「鉄分」・「カルシウム」が豊富です。この1袋でたくさんの海藻類が入っています。(わかめ/茎わかめ/こんぶ/白きくらげ/こんにゃく寒天/赤つのまた/黄つのまた/ひじき)1 人分13kcal(10g)なのに、食べ応え十分です。
「たんぱく質」+「野菜」の組み合わせが体づくりのポイント
普段の健康や体づくりのためには、「必要な栄養素(5大栄養素)を過不足なく摂取すること」が必要です。「バランスの良い食事をしましょう」ともよく言われますが、そのためには、食事の基本形を意識することがポイントです。食事の基本形は「主食+主菜+副菜+果物+乳製品」です。特に日本人は「たんぱく質」が不足しやすい人種とされています。そのため、主菜でしっかり「たんぱく質」を摂取するとともに副菜や汁物でも「肉・魚・卵・大豆製品・乳製品」を組み合わせるとをおすすめしています。
今回は、ファスティングの「準備期」ということで副菜の海藻サラダに「枝豆」を入れることでたんぱく質を補強しています。
豆腐の野菜あんかけ(主菜)
材料
- 絹豆腐 1/4丁
- 人参 10g
- 玉ねぎ 10g
- コーン缶 5g
あんかけ
- ほんだし 小さじ1
- 酒 小さじ1
- 薄口醤油 小さじ1
- 水100ml
- 片栗粉 小さじ1/2
豆腐を耐熱皿に入れて電子レンジで温める。野菜類は、鰹出汁+調味料で煮て、水溶き片栗粉を入れて、とろみをつけて完成。
セロリと舞茸のスープ (副菜)
材料
- まいたけ 20g
- セロリ 15g
- プチトマト 5ケ
- 白ゴマ 少々
- コンソメ 小さじ1
- 濃口醤油 小さじ1
- 塩 少々
- 黒こしょう 少々
- 水 200cc
香味野菜を使うことで、減塩にもつながります。スープや味噌汁は、溶け出した水溶性のビタミンも汁ごと摂取可能なのでおすすめの調理法です。
「準備期」2日目〜生姜で体に優しいポカポカメニュー〜
献立
- 塩じゃがいも+野菜
- ひじき煮
- 冷奴
- 蒸しなす
- かぶと生姜の中華スープ
塩じゃがいも
材料
- じゃがいも 1個
- 塩 少々
- パセリ 少々
*じゃがいもを塩で茹でて、柔らかくなったらお湯を捨てる。あとは、水分をとばすように、少し火にかければ完成。じゃがいもは、「茹でる前に芋の真ん中に1周切り込みを入れる」と皮がスムーズに向けます。また、芋類や根菜類を茹でる際には、「水の状態から茹でましょう。」火が通りにくい食材を沸騰したお湯から茹でると、表面と中心部の温度差が生まれてしまい、煮崩れや芯が残る原因となります。
ひじき煮
- ひじき 10g
- 大豆水煮 20g
- 金時豆 10g
- 枝豆 10g
- 白ごま 少量
- だし汁 100g
- 砂糖 小さじ1
- 酒 大さじ1
- みりん 大さじ1
- 醤油 大さじ1
- サラダ油 小さじ1/2
*大豆や金時豆など、豆類をうまく料理に組み合わせましょう。「たんぱく質」や「食物繊維」を強化するだけでなく、「食べ応えもUp」できます。豆類は、体づくりには欠かせない良質なタンパク源です。うまく献立に取り入れていきましょう。
蒸しなす
材料
- なす
- 大根おろし
- 万能ネギ
*なすを湿らせ、そのままラップして電子レンジで2分加熱。簡単でヘルシーです。
生姜で体をポカポカにしよう
かぶと生姜のスープ
- かぶ 1個
- かぶの葉 10g
- 生姜千切り 5g
- 白ごま
- 水 200cc
- 鶏ガラスープの素 小さじ1
- 酒 大さじ1
- 塩 少々
加熱した生姜の中には、「ショウガオール」という成分が含まれます。生姜を加熱・乾燥させることでできる成分が「ショウガオール」です。「体の深部で熱を作り出して、体をあたためる効果」があるとされています。生の生姜には「ジンゲロール」という成分が含まれています。この成分は、「手先や足先などの末端部分を温める効果」があります。この成分によって、血流を良くすることで、体の深部にある熱を手先・足先に運ぶことによるものです。*体の深部にある熱は奪われるので、体自体の温度は、冷やすことがあります。(*基礎体温Upには、生活習慣や腸内環境改善など、他にも取り組むべきアプローチがあり、冷え性の根本的な原因を改善することが大切です。)
「準備期」をきっかけに自分の生活習慣を見直しましょう
ファスティングを成功させるためには、「準備期」の過ごし方が重要で「胃腸の負担が少ない食事をすること」がポイントです。もう1つ大切なことは、「睡眠」です。「質の良い睡眠を十分に行うこと」は、健康維持や体づくり、ダイエットなど、どのような目的においても必要不可欠です。しっかりと寝ることで、体も十分に休めた状態で、「断食期」に入りましょう。質の良い睡眠をするためには、こちらも事前の「準備」が大切です。
気持ちよく寝るためには、朝のスタートダッシュが肝心
質の良い睡眠をするためには、日中の過ごし方が重要です。特に起床後の過ごし方が大切です。まず、起きてすぐやってほしいことは「カーテンを開け、太陽を浴びること。」太陽を浴びることで、「体内時計をリセットすること」が狙いです。私たちは、生まれながらに持っている生体リズムがあり、このリズムを「体内時計」とも呼びます。このリズムの周期は、約24時間とされてます。厳密にいうと個人差もありますが、「24時間15分」や「25時間」とも言われております。つまり、地球の1日の周期とは、約1時間のずれがあります。このずれが修正できないと、睡眠や覚醒のリズムに乱れが生じ、様々な体の不調につながってきます。このずれを修正するために重要とされるのが「光」です。朝の光に含まれる成分に体内時計のずれを修正する働きがあるとされています。本来、休むべき時間に「光」を見ることで(寝る前のスマホやパソコンなどの液晶のブルーライト)、体内リズムに狂いが生まれ、生活習慣が乱れる原因ともなります。規則正しい生活習慣を作るためにも、「光」のことを意識してみてください。毎日、決まった時間に起きて、「朝日」を見ることが、その日1日をエネルギッシュに過ごすための最初のスタートダッシュに必要不可欠です。その後は、コップ1杯の水を飲み、朝食をしっかり食べる。この一連の流れが、生活リズムを生み出し、充実した1日を過ごすためのポイントです。また、夜、気持ちよく寝るためには、「睡眠ホルモン(メラトニン)」を十分に分泌させることが必要で、このホルモンの材料となる栄養素が「トリプトファン」と呼ばれる必須アミノ酸の一種です。この「トリプトファン」を朝食で摂取することが、「睡眠ホルモン(メラトニン)」を生成する手助けとなります。「トリプトファン」は、魚類、大豆製品・卵、乳製品、ナッツ類などに多く含まれています。朝食から、質の良い睡眠へとつなげていきましょう。