初心者向けファスティング実践ガイド〜栄養士が3日間のファスティングに初挑戦〜
2024/11/11
「ファスティングって実際のところ、どうなんですか?」そのような、声を多くいただいていました。しかし、恥ずかしながら、栄養士ですが、うまく答えることができませんでした。ということで、試しにやってみました。その時に感じたことや様子を報告します。
目次
初心者向けファスティングの基本
今回、私は「ミネラルファスティング」というものをやりました。「ミネラルファスティング」とは、3日間から6日間、専用の酵素ドリンクと水だけで過ごす断食です。美容・健康維持のために実践する人が多く、芸能人やアスリートの間でも取り入れられているそうです。フランスで「メスを使わない手術」という格言あるほど、多くの効果があると言われています。(デメリットもあります)
私は、肯定派でも否定派でもなく、「興味があればやってもいいんじゃない?」やってみて、合わなければ、途中でやめてもいいし、自分にとって効果がありそうなら、またやってもいいと思うし、その効果が見合わなければ、別に無理にやらなくてもいいんじゃない?くらいのスタンスです。
実際にやってみた時に感じたことなどを紹介します。あと、1番最初にお伝えしておきますが、ファスティングを行うときは、「専門家の指導のもと、体調等みながら行うこと。」せっかく始めたからといって、体の不調を感じているのに、無理に続けることはやめ、すぐにおかしいと思ったら、中断しましょう。やめる勇気も必要です。また、機会を改めて、やるのも良いですし、別にやらなくても、あなたの体の不調や困っていることを解決するアプローチは、他にもたくさんあります。ぜひ、お気軽のお問合せください。
ファスティングとは? その意味と目的
ファスティング(fasting)は、英語の(fast)という動詞の名詞形で、日本語に訳すと「断食」・「絶食」を意味します。古くから宗教的な行為として行われてきました。「fast」が含まれる、食事に身近な英単語といえば、多くの方が知っている「Breakfast」ではないでしょうか?「Break (継続しているものを絶つ・破る)」と「fast(断食する)」の2つの単語からきており、前日の夕食から何も食べていない「絶食の状態を破る最初の食事」という意味で朝食を「Breakfast」と呼びます。
断食は、キリスト教をはじめ、イスラム教、ユダヤ教、仏教、ヒンズー教など、世界中のさまざまな宗教や思想において行われています。イスラム教の「ラマダン」はご存知んの方も多いのではないでしょうか?ラマダンの期間中は、日の出から日没まで断食を行います。目的としては、恵まれない人たちの気持ちを理解することや神の恵みに感謝する気持ちを育むこととされています。知り合いのインドネシアの方に話を聞いたら、ラマダン中は、禁酒や断食だけでなく、人や物などに対して、「怒り」の感情を持ってはならないなど、いろいろ注意点があるみたいです。私の知り合いは、めちゃくちゃ早く起きて、朝ごはんをたらふく食べて、夜までなんとかタバコで凌ぐと言ってました。(休憩中のお菓子もたまには良いというMyルールを持っているそうです。笑)
「ファスティング」=「断食する」ですが、もう少し細かく説明すると、一定期間、固形物の食事を避けることによって、「内臓を休め、本来持つ体の機能やリズムを取り戻す」といった目的もあるとされています。特に普段の食生活が乱れている方は、絶えず内臓が動き続け、胃腸などが疲弊し、睡眠に影響が出たり、疲労回復が追いつかず、体に不調のつながりやすいです。胃腸を休めることで、そのような、一連の悪い流れを1度リセットすることに大きな意味を持ちそうです。英語の辞書には、「精神及び体の治療・解毒」と記載されているものもありました。
「デットクス(Detox)」や「デットクス効果」という言葉もよく耳にすると思います。「デットクス」とは、「体に蓄積された有害物や老廃物を排出させる健康法」とされています。「老廃物の排出を促進することで、心身の不調を改善すること」を目的としています。老廃物は、便や尿、汗や毛髪から排出されます。「ファスティング」=「断食」、「デットクス」=「老廃物の排出」なので、「ファスティング」=「デットクス」ではありませんが、ファスティングには、デトックス効果があり、老廃物を排出することにつながると言う専門家もいます。心身の不調を改善できる可能性があるという点では、共通しているかもしれません。後ほど、紹介しますが、「ファスティング」=「ダイエット」では、目的が少しずれてくるので、その点は注意しましょう。
ファスティングの効果とダイエットへの影響
ファスティングのメインの目的は、「内臓(消化器官など)を休め、本来の働きを取り戻すこと」つまり、1番の目的は、「消化器官を休めること」です。その結果、疲弊した消化器官が本来の働きやリズムを取り戻し、老廃物や毒素を体外に排出することにつながります。老廃物や毒素が体外に排出されることによって、腸内環境向上やダイエットなどが期待できるとされています。
[期待される効果]
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腸内環境向上
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ダイエット効果
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味覚など感覚を鋭くする
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血液循環を改善し、細胞を正常化する など
ダイエット効果はありそうだが、「ファスティング」=「ダイエット」ではない
一定期間内臓が休まり、疲弊した消化器官がなどが本来の状態を取り戻すことで、老廃物の排出につながるなど、確かにダイエット効果はあるといえそうです。私も実際に今回の3日間の「ファスティング」で約3kg減量しました。
・体重52.2kg→49.5kg 2.7kg↓
・体脂肪率10.5%→7.2% 3.3%↓
(体脂肪率は測定法によって誤差があるので目安程度で考えてください。)
*TANITA 体組成計で測定
ダイエットをしたいと思う方が、まず考えなければならないことは、「なぜ、ダイエットしたいか?」ということです。もっと詳しく説明すると、「ダイエットを通して、本当に達成したいこと(真の目的)は何か?」ということです。「減量する」ということは、1つの手段であって、目的ではありません。例えば、「綺麗になって、もう1度昔みたいにオシャレをして輝きを取り戻す」であったり、「健康になって、やりたいことを楽しむ」ということが真の目的であった場合、「減量する」ことが目的ではなく、「綺麗になること」や「健康になること」が目的です。減量しても、綺麗にならなかったり、健康にならなければ、真の目的は達成されません。その多くの場合は、あなたの困っていることや悩んでいることは解決できず、あなたは満足しません。果たして、「減量するというアプローチが正解だったのか?」「他のアプローチ(手段)をした方が良かったのではないか」ということになります。また、体重が減ったことに喜ぶ方もいると思いますが、「体重=筋肉・脂肪・骨・水分」の主に4つで構成されており、中身を見たら、「実は体脂肪は減ってなく、筋肉や水分が減っていた」ということはよくあります。それでは、見た目も変わらず、代謝も下がり、健康の観点でいっても、むしろマイナスの効果の方が多いです。ダイエットする場合は、「真の目的を考えること」+「なぜ、体脂肪が増加したのか?」・「なぜ、不健康になってっしまったのか?」など根本となる原因や生活習慣を改善しなければ、すぐに逆戻りです。間違ったダイエット法をすれば、状況はさらに悪化します。つまり、痩せたいから「ファスティングしよう」は浅はかであり、ちょっと立ち止まって、もう1度考えてみてほしいです。確かにファスティングをすれば、体重が減少するでしょう。ただ、それは一時的になってしまう可能性は高く、根本の原因を解決し、そこを改善しなければ、継続的に、そして体脂肪を減少することにはつながりません。いろいろ考えてみて、やはり、「ファスティング」をすることで、体重を減少させることがよいと判断したならば、やってもいいのではないでしょか?「ファスティング」を生活習慣や食の嗜好を見直すきっかけとすることをやってみてもよいと思います。というただ、体脂肪を減少させるためには、他にもたくさんのアプローチがあり、長期的に考えれば、そちらからのアプローチをした方が、真の目的は達成される可能性は高いという場合は多いにあることは忘れないでください。
ファスティングのデメリット
ファスティングにもいくつかデメリットはあります。断食中は、食事をしないため、必要となる栄養素が十分に摂取できない可能性があります。私は、「基礎代謝を上げていくためには、必要な栄養素を過不足なく摂取することが大切」だと考えています。ファステイング中に栄養不足になることで、エネルギー不足による、体の不調や活動量の低下、集中力の低下や気分の変動、筋肉量の減少、過度なストレスなどのネガティブな反応も引き起こされる可能性はあります。
[ファステイングのデメリット]
- 栄養不足
- エネルギー不足
- 活動量の低下
- 集中力低下
- 気分の変動
- 筋分解、筋肉量の低下
- ストレス など
そのほかに、低血糖などのリスクもあり、糖尿病など特定の疾患を持つ方は非常に危険な場合があります。そのような方は、医師の判断が必要で、まずは医師に相談してください。
このように、ファスティングには、メリットもデメリットもあります。食事も同じ、食材も同じです。食材ひとつひとつ、含まれる栄養素も違えば、成分も違います。食事の目的や人によっては、その食材を摂取することが大きなメリットとなる場合もあれば、大きなデメリットになる場合もあります。どんなに健康によくて、栄養価が高いとされる食材でも、メリットだけでなく、デメリットとなる内容も1つはあります。「食事の目的は何か?」・「ターゲットにしたい栄養素や効能は何か?」など、メリット・デメリットを天秤にかけ、食事や食事を選択する必要があります。多くの情報が出回っており、判断が難しい場合もありますが、「目的に合わせて食選択する力」を高めることが、真の目的を達成することにもつながります。ファスティングもメリット・デメリットを考慮した上で、必要であれば、挑戦してみてください。私もある管理栄養士の協会に所属する専門家に「ファスティングなんてやったの? 意味ないじゃん、馬鹿じゃない?」と言われました。笑 いろんなデメリットがあることも知ってますし、そういった立場で仕事などもされているので、そう発言した気持ちも理解できますが、「私はやってみてよかったな」と正直に思います。やってみたからこそ分かったことや感じたこともありました。(ただ、定期的にやったり、人にやればと勧める気はありません。やりたければやればのスタンスです。)*この記事は、ファスティングを行った5年後にリライトしています。その5年の間に2回目のファスティングはやってません。
ファステイングの日程と事前準備
今回は、ファスティングマイスターでもある管理栄養士の圓尾和紀さんのサポートのもと1週間の日程で行いました。日程としては以下のスケジュールで事前に準備したものは以下の通りです。
[1週間のファスティング日程]
- 準備期(2日間)
- 断食期(3日間)
- 回復期(2日間)
[準備したもの]
- 酵素ドリンク(マナ酵素)
- アミノマキア (栄養機能食品)
- 水(2ℓのペットボトル)×3本
*マナ酵素は約60種類のハーブや様々な野菜・果物・乳酸菌・酵母を発酵熟成させたものがベースとなっています。ファスティング時のミネラルの代謝に貢献するそうです。また、1日分のエネルギー源ともなります。(700kcal)味は予想以上に甘く、想像してたよりも飲みやすかったです。
*アミノマキアは、アミノ酸20種類とフィッシュコラーゲンを配合した栄養機能食品。「アミノ酸」と「ビタミンB6」が豊富で、ファスティング中の筋分解を抑制するために使うそうです。味は、柑橘系の爽やかな感じでした。
詳しいファスティングの方法や準備期や回復期の過ごし方は、ファスティング体験記その2で報告します!!ファスティング準備期・断食期・復食期の過ごし方-体験記2- - ほりさんの食選択応援blog
事前準備&準備期の取り組みから、効果を最大化する
今回、ファスティングをやってみて、「断食期」の過ごし方よりも、「準備期」・「回復期」の過ごし方が非常に重要だと感じました。特に「回復期」。やり方を間違い、私は悲惨な目にあいました。笑
また、ファスティング中は、予期せぬ体の不調や思わぬトラブルもあるかと思うので、日程には余裕を持って、大事な予定や仕事を入れないなど、スケジュールも考慮する必要があると思います。また、ファスティングによって、体がよくなっている過程で一時的に現れる症状として、「頭痛・吐き気・眠気・食欲不振・倦怠感・吹き出物etc.)の好転反応と呼ばれる症状を発症する可能性があります。そのまま続けても問題ないとされてますが、その症状があまりにもひどい場合は、無理せず、中止しましょう。あらかじめ、そうのようなことも起こる可能性があることは、頭の片隅に入れときましょう。
準備期では、揚げ物やスイーツなど高カロリーの物、アルコールやカフェイン、香辛料などの刺激物、添加物が多いものなどをはじめ、消化に負担がかかるものは避けたほうがよいとされています。これから、事前に消化の良い食事をすることで、無理なく断食期に入るという目的と結果を出すために準備が必要とのことでした。なので、夕食もなるべく早くに済ませ、「穀物・芋・豆・野菜・ナッツ類・海藻」などを中心に「発酵食品」もうまく取り入れた食事をするとよいでしょう。ポイントは「消化の負担を少なくする」ということです。
ここまで、ファステイングの目的やメリット・デメリットを紹介しました。次回以降、「準備期」・「断食期」・「回復期」の食事内容や過ごし方、実際に現れた効果やそのときに心情などをお伝えしていきますので、ぜひ、参考にしてみてください。