失敗の先にある再挑戦。新しい畑と新しい希望|北海道・天塩町“0からの畑日記”#11
2025/07/22
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目次
背丈より高い草と格闘。再び、新しい畑を開拓へ
春菊が育たなかった。
パクチーも半分ほどしか残らなかった。
ハーブは全滅。ほうれん草は、とう立ちしてしまった。
それでも私は、次に向けて動き出しました。
このままでは終われない。
そう思って、再び新しい畑に足を踏み入れました。
そこは、自分の背よりも高く茂った草がびっしり。
昔はしっかりと作物を育てていたそうですが、いまは耕作放棄地。
でも、これだけ草が育っているということは、土が悪いわけではない。
そう信じて、草を刈り、畑としての第一歩を刻みました。

目の前にするとなかなかの高さだな。笑 ここを開拓するのか。
昔の畑をよみがえらせる――草刈り&米ぬかまき
再生の一歩目は「草刈り」と「米ぬかまき」。
今年は異常に暑い北海道の7月。たまたま今回、天塩に来た期間は曇りや雨の日が多く、草と向き合うには過ごしやすい気候でした。
刈った草は広げて、土と混ぜて堆肥にする予定です。
その前段階として、まずは大まかに草刈りをして、米ぬかを畑一面にまきました。
微生物のエサになることで、土の分解や発酵が進み、ふかふかの土につながります。
堆肥をしっかり作って、秋には緑肥をすき込む。
そして、来年の春にもう一度、畑としてのスタートを切るつもりです。


まだ、地面は見えませんが、春にはきっと耕運して、畑にできるはず。
秋に向けた堆肥計画と緑肥の導入へ
今回の滞在では、すぐに収穫できる作物を育てるというより、
「土づくり」にフォーカスしました。来月以降もその予定です。
・刈った草を発酵させる
・米ぬかや牛糞を混ぜて堆肥化
・秋には緑肥(マメ科や根を伸ばす草)をまいて、土をリセット
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今年の失敗を活かすには、
この秋の“下準備”が一番大切だと感じています。
冬は雪が積もって、何もできません。笑
根っこを断ち切る緑肥があるみたいです。ふかふかの土になるよう準備していきたいです。
跡地には、再びタネを。新たな挑戦が始まる
もちろん、すべてを来年に先送りするわけではありません。
芽が出なかったインゲンやパクチーの跡地には、もう一度種をまきました。
ハーブゾーンには、イタリアンパセリの種と、バジルのこぼれ種も。
さらに、ほうれん草の跡地には「旨味菜(うまみな)」という
チンゲンサイと小松菜の良いとこ取りのような品種も試しています。
“再挑戦”という言葉には、なにか勇気があります。
何度失敗しても、また土に向き合う気持ちが湧いてきます。

暑さと不作の中で考える、“天塩だからこそ”できる農業とは
2025年の北海道は、これまでにないほど暑く、雨が少ない夏のようです。
以前お世話になった小清水町のレタス農家さんも「今年は不作だよ」と肩を落としていました。
北海道だからこそ、この季節に本州では作れない作物を育てる。
それが私の“勝ち筋”だと信じてきました。
でも、気候が変わってきている今、それだけに頼っていては厳しいかもしれません。
「その土地だからこそ育つ作物」ではなく、
「この土地を活かして、新しい作物を育てる工夫」へ。
方向転換が必要なときが、今なのかもしれません。
ただ、それだと埼玉でやるのと変わらないので、やはり、この季節、この町だからこそできる農業の形を見つけていきたいです。

第2畑。ここも春菊でいっぱいにしたいですね。メインは春菊、サブはパクチーでなんとか成功を。
今後への課題と、考えていること
今年は、種まき後の「水やり」ができず、芽が出なかったことが悔やまれます。
遠隔地で畑を管理する難しさを痛感しています。
次のシーズンに向けては、
- 現地にまとまって来られる6月に種まきを終わらせるか
- 苗を関東で育ててから北海道に持ち込むか
- もしくは、地域の方の力を借りて水やりの仕組みを整えるか
いろいろアドバイスをもらいながら、試行錯誤していこうと思っています。
おまけ|癒しの牛さんと、草の話
ちなみに、畑の草を全部引っこ抜いているとき、ふと何かの視線を感じました。
顔を上げると、牧場の牛さんたちが静かにこちらを見つめていました。
草ばっかり育って…
いっそのこと「草を売る」ビジネスでも始めようか――冗談ですが、そんな気持ちにもなりました(笑)。
それにしても、牛って草だけでどうしてあんなに大きな体になるんでしょうね。
ちょっと慰められたような、不思議な時間でした。

次回の#12では、堆肥の進行状況と、新たな畑づくりの続き、
パクチーと春菊の一部が収穫できる予定なのでその様子をお伝えできればと思っています。
まだまだ“0からの畑日記”は続きます。