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❄️ 冬のカラダづくりロードマップ|高校生アスリート向け【11〜3月版】

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冬は、高校球児にとって もっとも体を変えやすい特別なシーズンです。
春・夏の大会前は、練習量と食事量のバランスが難しくなりますが、
冬だけは「練習 × 食事 × 休養」を同時に整えやすい貴重な時間。
ここが春以降のパフォーマンスを最大化させるための勝負ポイントです。
ひと冬で球速が10km/h以上速くなりました。とい選手も数多く見てきました。

ただ、冬はうまくやれば大きく伸びますが、
独学だと “食べているのに体重も斤量も増えない冬” になりがちです。

  • 食欲がわかない
  • 練習量に負けて体重が落ちる
  • 冬でも脱水している
  • 補食のタイミングが合わない

こういう悩みは本当に多く、
実際に私がサポートしてきたチームでも、
冬に大きく差がつくのを何度も見てきました。

そこで今回は、
管理栄養士として高校球児をサポートしてきた経験から、
冬に確実に体を変えるためのステップ をまとめました。

「冬を制する者が、夏を制す」
焦らず、慌てず、でも着実に。
“いつも通り”の積み重ねで、冬を味方につけましょう。

1|現状把握:まずは「伸びしろ」を知る

冬の体づくりで一番最初にやること。
それは “現状を正しく知ること” です。

冬は増量・筋量アップのチャンスですが、
自分がどこでつまずいているか分からないまま始めても、
努力が空回りしてしまいます。

そして、冬の体づくりで絶対に忘れてほしくないことがあります。
それは、「何のために体づくりをしているのか?」 という目的です。

体を大きくしたり、体重を増やしたりすること自体がゴールではありません。
体づくりの本当の目的は、野球のパフォーマンスを伸ばすこと。

体が変わるだけで満足してしまっては意味がありません。
だからこそ、この冬に

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  • 自分のプレースタイル
  • どんな選手になりたいか
  • 強み・弱みは何か
  • 活躍するために必要なことは何か

こうした“自分の野球”と向き合うことが大事になります。

体を大きくしながら、

  • 投げるボールはどう変わっているか
  • 打球は強くなっているか
  • 走ったときの感覚はどうか

こうした変化にも目を向けてください。

ただ、ひとつだけ断言できることがあります。
体づくりをせずに、劇的にパフォーマンスだけが伸びることはほとんどありません。
技術練習ももちろん大切ですが、その土台にあるのはフィジカルです。
体づくりから逃げず、冬の時間をうまく使うことが、春・夏の飛躍につながります。

根底にあるのは、フィジカル能力。この部分が向上することで、野球の動きも変わってくると思います。

▼ 冬の最初に必ずチェックしたい項目

  • 体重(毎日測定する) *アスリートなら必須のスキルの1つだと考えます。
  • 朝ごはんの量 
  • 補食の回数
  • 1日の総摂取量
  • 水分量(寒い冬ほど減りやすい)
  • 睡眠時間
  • 練習後の食欲の有無

✔ メッセージ

👉 カラダづくりは “現状把握力” が9割。

ここができている選手は、本当に伸びます。

2. 冬の期間の具体的な目標を立てよう

目標は“数字”で決めるとブレません。また、いつまでに達成するかを決めること。
そして、日々達成できているか、できていないか。できていなければ修正する。そういったことを繰り返しながら、この冬を過ごして欲しいです。まずは、1ヶ月ごとの現実的に達成可能な目標(スモールステップ)をいくつか立てて見ましょう。

冬の基本目安

  • 冬の3-4ヶ月で体重 +2〜5kg
  • 1ヶ月で体重の1-2% (0.5-1.5kgくらい)の増量
  • 筋量アップ(InBodyなら3ヶ月で+1〜2kg)
  • 体脂肪率は少し増えてOK(+1〜2%)

時々、「1ヶ月で筋肉量を10kg増やしたいです!」と言う選手がいます。
でも、これは 現実的にはほぼ不可能 です。

まず考えてほしいのは、
この1年で体重が10kg増えましたか? ということ。
1年かけてもできなかったことが、
1ヶ月でできるはずがありませんよね。

だからこそ、

1ヶ月で体重が1%増えるだけでも、ものすごく良いこと。

これは立派な成長で、しっかり褒めてあげたいポイントです。

そして、もう一つ覚えておいてほしいのは、
体重が1kg増えたとしても、そのすべてが筋肉になることはほとんどない ということ。

筋肉を増やすためには、

  • しっかりトレーニングをして
  • しっかり食べること

この2つがセットで必要です。

その過程では、体脂肪も少し増えるのが普通です。
私の経験上、

「筋肉量も体脂肪も、両方すこしずつ増やしていく」気持ちの方が、結果的に筋肉が増えやすい

という選手が多いです。

逆に、トレーニングをせずに食べる量だけ増やしたら、
増えるのは筋肉ではなく 脂肪だけ
ここは絶対に忘れないでください。

ここで伝えたいこと:
👉 冬は“増やす時期”。絞るのは春でいい。

*これも私の経験上、「体重は増やすより、体重を減らす方が簡単」だと考えています。

🍚 3. 冬の三本柱:食事・補食・睡眠

冬の体づくりは、この3本柱が大切だと考えてます。トレーニングはやるの当たり前。トレーニング以外でも他のライバルと差をつけていきましょう。

🍽 3-1. 食事:朝ごはんが“体づくりの核”

  • 朝:食事量を確保し、エネルギー量を満たす
  • 昼:トレーニングに必要なエネルギー量を確保する
  • 夜:リカバリーの材料を意識(たんぱく質 +糖質)

昼と夜はしっかり食べられるのに、
朝ごはんだけがなかなか食べられない――
そんな選手をこれまで何人も見てきました。

そして、そういう選手ほど
「体重が増えません…」と悩みます。

▶ **朝食べることができれば、体重は増えてくる。

 朝はあまり食べることができていません。そして、昼と夜食べているつもりですが、体重がなかなか増えないです。それならば、答えはシンプル。「朝食べることができたら、体重は増える。」
*朝も食べているのに体重が増えない場合は、他の原因があります。そのような方はぜひ、ご相談ください。

ではどうしたら、朝ごはんを食べることができるか?

答えは、
“朝に食べられるように、前の日を整えること” です。

  • 夜ごはんで不足分を全部埋めようとする
     → 食べすぎ&胃がもたれる
     → 睡眠の質が下がる
     → 朝に食欲がない
    という悪循環になる選手はとても多いです。

悪い生活リズムを断ち切り、目指せ朝型人間!

必要な栄養を「補食」で前倒しすること。

補食がうまく使えると、
夕食の負担が減って、睡眠が深くなり、
翌朝スッとごはんが入る体になります。

もちろん、足りていないなら夕食でもしっかり食べる必要はあります。
食べなければ痩せていくので、これは絶対条件。

ただ、もう一段レベルアップするなら——

✔︎ “1日の必要量+αを満たすのは当たり前”

✔︎ そのうえで、朝・昼・補食でどれだけ必要量をカバーできるかが勝負

夕食だけに頼らない体づくり。
これが冬の成長を大きく変えていきます。

▼ 朝に食べたい組み合わせ

  • ごはん
  • たまご or 焼き魚などの主菜
  • 納豆
  • ヨーグルト
  • 具だくさん味噌汁
  • 果物

*ポイントは、「しっかりと主食の量を確保すること」「タンパク源を複数組み合わせること。」

朝にしっかり食べる選手は冬に強い。また、第1試合でもパフォーマンスを発揮しやすい。

🍘 3-2|補食:冬の“最重要ポイント”

体重増加には補食がマスト!
必要なエネルギー量が多い高校球児は1日3食の食事だけで、エネルギー量を満たすのは難しいです。
また、補食の食べる内容とタイミングでトレーニング効果も変わってきます。
そのため、補食が増量のカギを握ります。

▼ 冬のおすすめ補食

練習前→「トレーニング効果を最大化させる」ために、トレーニングに必要な「エネルギー源+水分」を中心に確保することが大切。

  • おにぎり
  • カステラ
  • どら焼き
  • みたらし団子
  • 大福
  • もち
  • オレンジジュース
  • 羊羹
  • エネルギーゼリー

練習後→リカバリーに必要な「たんぱく質+糖質+水分」が摂取できるもの

  • 鮭おにぎり
  • サンドウィッチ
  • 肉まん
  • ヨーグルト
  • 月見うどん
  • どら焼き
  • パン+牛乳
  • プロテインミルク

👉 “補食の回数=体重の伸び率” と言ってもいいくらい重要。

😴 3-3|睡眠:冬は“成長ホルモンのゴールデンタイム”

トレーニングも頑張り、食事も頑張る。そのような選手も多くみてきましたが、睡眠はどうでしょうか? 大谷翔平選手が睡眠を非常に大切にしていることは有名であなたもご存知ないでしょうか?
ストイックなトレーニング+食事管理に加え、大谷選手は試合スケジュールを逆算して、睡眠のスケジュールも考えているそうです。それくらい、日々のパフォーマンスにも、体づくりにも睡眠は大切なのです。人間は寝ている時に体の修復と休息を行います。なので、寝なければ、リカバリーが追いつかず、パフォーマンスが落ちるし、体も大きくならないのは当たり前です。

💤 睡眠の質にもこだわろう

睡眠時間をしっかり確保することは大切ですが、
「時間」だけではパフォーマンスは上がりません。

冬の体づくりでは、

▶「睡眠の“質”を上げることがカギになります。」

睡眠の質にもこ睡眠時間を確保することも大切ですが、ただ時間を確保するだけでなく、睡眠の質を上げることも考えていきましょう。

睡眠の質を上げるポイント

  1. 寝るための準備をすること
  2. 眠りを妨げるものを減らすこと

「体温」と「入浴」は最強の味方

人は、
体温がいったん上がり、それが下がり始めたタイミングで眠りにつきやすい
という特徴があります。

これを利用できるベストな方法が 入浴 です。

▶ 眠る90分前に湯船につかる

→ お風呂で体温が上がる
→ 寝る頃にゆっくり下がる
自然と眠りに入りやすくなる

さらに入浴には、

  • 筋肉の疲労回復
  • 血流アップ
  • リラックス効果

などアスリートにとって必要なメリットばかり。

だからこそ、

アスリートは「シャワーだけ」はNG。

毎日お風呂に浸かることを基本にしてほしい。

冬に“よく眠れる体”を作ることも、
体づくりの大切な一部です。

睡眠の妨げとなるもののなかで「光」は大きな影響をもつと言われています。特に現代の生活では、「部屋が明るすぎること」が睡眠の質を下げているとされています。21時以降は、少しづつ、照明の明るさを暗くすることをおすすめします。

特に進学校の選手は、勉強もあり、睡眠時間が確保できないという声もよく聞きます。それならば、余計に睡眠の質にこだわる必要があるでしょう。また、勉強は確かにしなければなりません。ただ、勉強は部活引退後もできます。でも部活引退後にあの時、もっと練習しておけばと思ってももう遅い。自分にとって必要なことは何か。優先順位をつけて、時間をうまく使って欲しいです。勉強は授業時間中に全力で。笑

🕒 4|冬の1日の流れ(モデルケース)

「具体的にどうするの?」が一番知りたいところなので、
ここに“現実的にできる冬の1日”を置いておきます。

6:30起床
*起床後すぐに水分補給

7:00 朝食

  • ごはん (主食の量を確保する)
  • 肉 or 焼き魚 (必ず主菜となるものを食べる)
  • 卵・大豆製品(どっちかは必ず! 納豆がおすすめ)
  • 具だくさん味噌汁
  • フルーツ
  • ヨーグルト

👉 朝を変えると、冬の伸び方が一気に変わる。

9:30-10:00 午前中の補食(朝ごはんが少なかった時はマスト)
ここで朝食の不足分を確保することで、夕食の負担が大きく変わってきます。

  • おにぎり1個
  • バナナ
  • オレンジジュースetc.

*基本的には、エネルギー源を確保できる糖質を中心とした補食がおすすめです。

*また、午前中のうちに最低でも500mlは水分を摂取すること。冬は、乾燥や暖房などの影響で喉の渇き以上に体の水分が蒸発して、体水分量を失っています。

12:00-13:00 昼食(お弁当)

基本的によほど、胃もたれして、午後からの練習に影響する内容でなければ何を食べても良いと思います。ただ、午後からの練習のためのエネルギー源を確保するためにお弁当箱の半分は主食となるものを食べて欲しいです。

14:30 練習前の補食 (練習開始時間から逆算して、内容を変える)

  • おにぎり
  • カステラ
  • オレンジジュース
  • ゼリー etc.

16:00 練習
練習中は水分補給をこまめに。

19:30 練習後の補食 (練習後から夕食まで1時間以内ならなくても良いです。)

  • 鮭おにぎり
  • サンドウィッチ
  • 肉まん etc.

*ここで少し補給できれば、さらに夕食の負担は減らせます。

21:00 夕食 (早ければ早いほど良いです)
1日を振り返り、足りていないものを考慮し、内容と量を調整
*まずは、1日の必要量を確保することが最優先。なので、ここまでにどれだけ食べることができたかが大切。基本的な食事の形「主食+主菜+副菜+果物+乳製品」が基本だが、脂質は抑える工夫は必要。

22:00 入浴
入浴前+入浴後に水分補給(水orお茶)
*必ず湯船に浸かること

23:30 就寝 (どんなに遅くてもこの時間までには寝てほしい)

*だいたいこのようなスケジュールになるのではないでしょうか。強豪校なら、もっと練習時間は長かったり、朝練などもあるかもしれません。その場合は、またスケジュールと注意点は変わってきます。

5|月1の振り返りで成功が加速する

冬は「気づいたら1ヶ月経っていた…」となりやすい時期。
月に1回、軽く振り返るだけでも成功率が上がります。毎日、体重測定し、1日5分でも良いので、トレーニングや食事などのフォードバックをすること。そして、明日、何を意識するかを決める。この毎日の少しの努力の積み重ねが、春には大きな差となります。そして、このアプローチの経験が高校卒業後、次のステージで野球を続ける時にも、圧倒的なアドバンテージになります。普段、プロの選手を見てますが、「自己管理能力が高い選手は、長く活躍する」ということは自信を持って言えます。

見直すポイント

  • 体重の増減
  • 練習量
  • 朝の食事量
  • 補食の回数
  • 水分量
  • 疲労が抜けているか
  • 睡眠時間
  • 入浴

▼ 小さな改善でOK

  • 朝のごはんを+半膳
  • 補食を+1回
  • 夜に汁物を追加
  • 水分を500ml増やす

👉 冬のカラダづくりは “小さな積み重ね” が勝負。まずはできることから始めてみましょう。

🎒 最後に:冬は「変われる季節」。ひとりで悩まなくていい

冬は、高校球児にとって 1年で最もフジカル能力が伸びる季節 です。
だからこそ、悩みも多くなります。

  • 食べているのに体重が増えない
  • 食が細くて辛い
  • 練習量に負けてしまう
  • 保護者として何を準備すればいいか分からない

そんな声を毎年たくさんいただきます。

困ったらぜひプロへ相談。一緒に解決法を見つけていきましょう。

お問い合わせはこちら: https://hori3.com/contact/

冬を味方につければ、春が変わり、夏が変わります。それは、その後の人生も大きく変える転機ともなります。
“いつも通り”を積み重ねながら、冬の体づくりを一緒に進めていきましょう。

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