“食べるのも立派なスキルのうち!”夏バテを防ぎパフォーマンスを上げていく高校生アスリートのための食事戦略【保護者も必見】
「最近、食欲がない…」「練習が思うようにいかない」
そんな夏の不調、それは“夏バテ”のサインかもしれません。
高校生アスリートにとって、“食べること”はスキルの1つ。
トレーニングと同じように、習慣として身につけていくべき力のひとつです。
本記事では、夏バテによるパフォーマンス低下を防ぐために、今すぐ実践できる食事管理のコツを紹介。
保護者のサポートのヒントも交えながら、「食べられないときの乗り切り方」まで丁寧に解説します。
目次
食べないとどうなる?夏バテとパフォーマンスの関係
夏になると「なんか食欲がない」「朝ごはんが入らない」と感じる高校生アスリートは少なくありません。
でも、そこで食べないままにしてしまうと――実は“負の連鎖”が始まります。
🌀 負のスパイラルとは?
- 食欲が落ちる(=エネルギー・栄養の摂取量が減る)
- 体重が減る(筋肉・水分・栄養の減少)
- 疲労がたまりやすくなる・集中力が落ちる
- 練習についていけない・質が落ちる
- 結果が出ない・ケガのリスクが高まる
このように、“食べない”はただの食事抜きではなく、パフォーマンスを大きく落とす要因になります。
競技にもよりますが、パフォーマンスを向上させるためには、除脂肪体重(=筋肉や骨など脂肪以外の体重)を増やすことが重要です。
特に野球など、夏に大きな大会がある競技では、冬の間に体を作り、夏に向けて計画的に準備を進めてきたはず。
しかし、夏バテによって除脂肪体重が減少してしまえば、これまでの積み重ねが台無しになってしまいます。
また、以前の記事でもお伝えしましたが、食事量の減少はケガのリスクを高める要因にもなります。
夏の大会でパフォーマンスを発揮するためには、日々の「準備」と「リカバリー」で“暑さに負けない体”を作ることが大切です。
夏は「コンディショニング」が命
とくに夏は、暑さによる消耗・脱水・食欲不振が重なり、体にかかる負担が大きい季節です。
この時期にしっかり食べられているかどうかが、秋や冬の成果を左右する土台になります。
日々の体重は重要なサイン
「体重測定なんて意味あるの?」と思うかもしれませんが、体重の変化は“見えない体調不良”を早く気づくヒントになります。
- 体重が落ちてきた → 食事量・水分量が足りていないかも?
- 練習後に1〜2kg落ちる → 脱水している可能性あり
*練習前後で体重の2%以上減っていたら注意。
毎日、同じ時間・同じ条件で体重を測ることで、自分の変化に気づくスキルが育っていきます。


自己管理力”は食事からも養う
高校生アスリートにとって、トレーニングや技術練習と同じくらい大切なのが、「自分の体を知り、整える力」。
その土台となるのが、体重測定と**“食事の自己管理スキル”**です。
私自身、これまで多くのトップアスリートをサポートしてきましたが、早い段階から“食べる力”を身につけている選手ほど、次のステージでも安定して力を発揮し、着実に伸びていきます。そして、長く活躍している印象です。
この自己管理のスキルは、**将来の飛躍につながる“差がつく力”**になると感じています。チームによっては練習ノートなどを書いていると思いますが、その一部分の少しでいいので、栄養や睡眠と絡めてパフォーマンスはどうだったかと考えることができれば、それはもうプロアスリートレベルです。
食べなければ筋肉量は減りやすい
競技にもよりますが、パフォーマンスを高めていくには、除脂肪体重(=筋肉・骨・水分など脂肪以外の体重)を増やすことが基本です。
特に野球など、夏に大きな大会がある競技では、冬のうちから体づくりを始め、夏に向けて段階的に準備をしている選手が多いはず。
でも、夏バテによって食事量が落ち、除脂肪体重が減少してしまえば、これまでの積み重ねが一気に崩れてしまいます。
筋肉量を増やすために、欠かせないのが「トレーニング」です。
トレーニングなしに筋肉がつくことは、基本的にありません。
そして、その**トレーニングの効果を最大限に引き出すために必要なのが、“栄養”と“睡眠”**です。
トレーニングをしても、その前後の「準備」と「リカバリー」が不十分では、筋肉は思うように増えません。
つまり、しっかり食事がとれなければ、質の高いトレーニングもできず、回復も追いつかず、結果として筋肉量の減少やパフォーマンスの低下につながってしまいます。
⚠️ 食べないとケガもしやすくなる
以前の記事でも紹介したように、食事量の減少はケガのリスクを高める大きな要因でもあります。
エネルギーや栄養が不足すると、筋肉や関節が疲労から回復できず、「いつも通りの練習」の中でも体に負担が蓄積されやすくなるのです。
また、食事量の減少は、体内の水分量の低下にもつながります。
その状態で、瞬発力を要するような強度の高いトレーニングを行えば――どうなるかは、想像がつくはずです。
実際に、筋肉の柔軟性が失われたまま練習を続けてしまい、肉離れや筋膜炎などで長期離脱した選手を、私は何人も見てきました。
そうなれば、ただの“1歩後退”ではすみません。
むしろ、100km以上後ろに引き戻されるような感覚になることすらあります。
自己管理の第一歩は「観察力」
自己管理といっても、いきなり完璧を目指す必要はありません。
まずは、
- 毎日の体重を測る
- 食事の量や内容を振り返る
- 昨日の体調・練習の感覚を思い出す
といった、「自分の状態を観察する習慣」から始めましょう。まずは、お風呂に入っているときや帰りの電車の中での数10分でも良いと思います。
そこから、
「今日は練習がハードだったから、エネルギーを多めに摂ろう」
「体重が減っているから、ごはんの量や補食を追加しよう」
「食事はしっかり食べているのに、体重が減っているのは、もしかして日中の水分量か?」
など、“気づき”→“調整”につながる行動ができるようになっていきます。
食べる力は、伸ばせる“スキル”
食事もトレーニングと同じように、継続次第で上達するスキルです。
「食べたくない時にどうするか」「うまく食べる工夫を知っているか」も、実力のうち。
だからこそ、この夏は「食べる力」を意識して、
暑さに負けず、自分の体と向き合ってみましょう。
それでも食べられない時の対策と工夫
「食べるのが大事なのは分かってるけど…」
「食欲がない」「のどを通らない」――そんな日も、夏にはどうしてもあります。
だからこそ、**“食べられないなりの工夫”**を知っておくことが、自分の体を守る大きな力になります。
冷たくて、さっぱりしたものをうまく使う
夏バテのときは、温かい・脂っこい・量が多いものを避けたくなるのは自然なこと。
そんなときは、以下のような“ひんやり系+軽めの味付け”を意識すると◎
- 冷やしうどん+とろろ or 卵
- ツナ+トマトの冷製そうめん
- 冷奴+しらす+ポン酢
- バナナ+ヨーグルト+牛乳でスムージー
「ちゃんと食べる」ことにこだわりすぎず、まずは“少しでも入れられるもの”を選ぶこともカギです。
補食(間食)を活用して「小分けで食べる」
一度に食べられないなら、分けて摂ればいいんです。
- 朝食を2回に分ける(起床直後+移動中+学校で)
- 練習後すぐに補食→60分-90分後に夕食
- どうしても入らない日は「ゼリー飲料+バナナ」でもOK
“1回で完璧”を求めず、トータルで栄養を満たすという考え方が夏にはとても大切です。
こちらの記事もご参考に【保存版】朝練がある中高生アスリートのための朝ごはん完全ガイド|

🍋 味のバリエーションや香りで食欲を刺激
- レモンや梅干しなど、クエン酸系の酸味は食欲を引き出してくれる味
- ごま油や大葉、みょうがなど香りのある食材もアクセントになる
- 彩りがキレイなメニューも「ちょっと食べてみようかな」と思いやすい
- 香辛料やカレー粉など匂いからも食欲を刺激
“おいしそう”と思える工夫は、れっきとした栄養戦略です。
少し、大変ですが、「赤・黄・緑」が1色で揃うと見た目も栄養価も自然と整えやすいです。
💡 ポイントは「できる日に、できることを」
毎日完璧に食べようとしなくていいんです。
「今日はこれなら食べられそう」「スムージーならいけるかも」――そんな“ちょっとした工夫”を積み重ねていくことが、自己管理スキルを育てる第一歩です。
また、睡眠の質も回復力を左右する大切な要素です。
夜遅くまでスマホを見ていたり、寝る直前までご飯を食べていたりすると、体がうまく回復できません。
「よく食べて、よく眠る」ことが、夏を乗り切る体づくりの基本です。
そして、もし食事量が減ってしまった日は、その日のうちに何かしら対処する。
もし難しければ、翌日にどう補うかを考える。
それを日々繰り返すことで、パフォーマンスを落とさずに乗り切る“強さ”が育っていきます。
これは、**大きく体重や体調を崩さないための「戦略」**でもあるのです。
保護者・指導者にできるサポート
高校生アスリートにとって、食事や体調管理は“自分の課題”として向き合うべきもの。
とはいえ、まだまだ一人で全てをコントロールするのは難しいのも事実です。
そこで、周囲の大人のサポートがとても大切になってきます。
🗣️ まずは「気づいてあげること」
「最近、ちょっとごはんが進んでないな」
「体重が減ってきてるみたい」
「顔色や動きに元気がない」
――そんな小さな変化に気づいて声をかけてあげることが、最初の一歩です。
本人も、自分の変化に気づいていないことはよくあります。
体重や食事の記録を一緒に振り返るだけでも、大きなヒントになります。
補食やメニューの“ちょっとした工夫”で支える
- 食欲がない日は、冷たいそうめんやスープ系に変えてみる
- おにぎりやバナナなど、手軽に食べられるものを補食として用意する
- 「全部食べなさい」ではなく、「これなら食べられる?」という声かけを心がける
**押しつけではなく、“選択肢を用意する姿勢”**が、子ども自身の自己管理力を育てる土台になります。
家では「保護者が一番のコーチ」
私がサポートしてきた選手たちを見ていて感じるのは、家での声かけや関わりが、選手の成長に大きく影響するということです。
保護者は、技術を教えるわけではなくても、
- 食事のタイミング
- 食べられない日の代替案
- 疲れている日の早寝の声かけ
- そして、「ごはんの量、今日は何gにする?」とさりげなく問いかけてあげることも立派なサポートです。
…そんな**ちょっとした行動や言葉が、選手の“変わるきっかけ”**になります。
パフォーマンスを高めるために、保護者は「家庭での1番のコーチ」。
完璧に管理する必要はありませんが、日々のちょっとした手助けが、選手の未来を支える大きな力になります。
もちろん、朝早くからお弁当を作り、夜は遅くまでサポートしている日々の中で、
「大変だな…」と感じることもあるでしょう。
それでも――
いま目の前にいる選手の“未来”に、ちょっとだけ賭けてみませんか?
その想いと行動が、きっと本人に届いて、自立の一歩につながります。
まとめ|“食べる力”は、未来の実力につながる
夏の暑さは、体力だけでなく「食べる気力」までも奪ってきます。
でも、そんなときこそ、アスリートとしての自己管理スキルが問われる瞬間です。
「今日はどのくらい食べられた?」
「体重、最近どう?」
「眠れてる?」
――そんな問いを自分に投げかけられる選手は、確実に強くなっていきます。
そして、もしうまくいかない日があっても大丈夫。
できる日に、できることを。
食べられなかったら、補っていく。
その繰り返しが、コンディションを安定させる“夏バテしない体”をつくり、未来の実力につながっていきます。
食べる力には、少しだけ向き不向きもあります。
でも、私の経験上、それは“才能3:スキル7”くらいのもの。
モリモリ食べられる選手もいれば、そうじゃない選手もいます。
けれど、多くの選手は「意識」と「工夫」で、“食べる力”を自分の武器に変えていきました。
だからこそ、誰でも「食べる力」は育てられる――私はそう信じています。
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【高校生アスリート向け】夏でも“食べる力”を落とさない!食欲アップの工夫とおすすめ献立 - ほりさんの食選択応援Blog