みそソムリエが語る 〜1000を超えるみその種類〜
2020/01/23
先日は、みその歴史について、まとめました。
みそソムリエ 〜奥深い味噌の世界〜 - ほりさんの食選択応援Blog
今回は、みその種類について紹介します。
みそは、全国で何種類あるか、ご存知ですか?
あなたはまだ、とっておきのみそに出会ってはいないかも!?
目次
日本の伝統発酵食品 みそ
発酵食品は、世界中に数多くありますが、
「みそ」は、世界中を探しても、
日本にしかない、ユニークな特別な食べ物です。
みその定義は、みその品質表示基準によると、
「大豆若しくは大豆および米、麦等の穀類を蒸煮したものに、米・麦等の穀類を蒸煮して、麹菌を培養したものを加えたもの又は、大豆を蒸煮して麹菌を培養したもの若しくは、これに米・麦等の穀類を蒸煮したものに食塩を混合し、これを発酵させ、および熟成させた半固形状のものをいう。」
なかなか、長くてややこしいですね。
簡単にいうと、
まず、みその主な材料は、大豆・麹・食塩です。
そして、これらの材料を混ぜ合わせて、発酵・熟成させたものがみそです。
2つのポイント
-
みそは、発酵熟成させたものである。
-
発酵熟成させるために、麹を使っていること。
つまり、麹を使っていないものや、
発酵熟成していないものは、みそとは呼べないということです。
麹とは、米・麦・大豆などに
麹菌(アスペルギルス・オリゼー)を繁殖させたものです。
- 米+麹菌 → 米麹
- 麦+麹菌 → 麦麹
- 大豆+麹菌 → 大豆麹
米などの原料を蒸煮して、種麹を散布し、ムロに入れて、
約42時間後ほどで麹菌が、全体に繁殖して、「麹」になります。
この麹によって、原料を分解するための「酵素」を得ることができます。
この麹菌がいなければ、みそはもちろん、
醤油や日本酒・焼酎なども作ることができません。
なので、麹菌は、「国菌」と呼ばれています。
つまり、日本で1番大切な菌ということです。
麹菌が持つパワーは、すごいですね。
麹菌の特徴は、デンプンを分解する酵素を持つと同時に
タンパク質を分解する酵素も持っているということ。
世界的にみても、ユニークな菌とされています。
原料は、大豆・麹・食塩の3つですが、
なんと、みそは全国に1000種類以上あると言われています。
みその分類方法 麹・味・色による違い。
みそは、全国に1000種類以上あると言われていますが、
麹や味・色などで分類することができます。
見た目だけで、わかるものもあれば、
香りでわかるものもあります。
また、味見をしないとわからないものもあります。
味をみても、判別が難しい場合もあります。
地域ごとに、色や味に特徴などもあるので、選ぶ際の参考にしてみてください。
みそが違えば、みそ汁の味も、もちろん違います。
相性のよい具材なども違ってくるので、
数種類のみそをストックしていれば、味噌汁だけでも、
多くのレパートリーを増やすことができます。
家には、現在8種類のみそをストックしています。
みそ汁の組み合わせは、無限大。
麹による4つの違い。
まずは、麹の原料による違いを紹介します。
麹によって、みそを4つに分けることができます。
- 米みそ
- 麦みそ
- 豆みそ
- 調合みそ
米みそは、大豆に米麹を加えて作ったものです。
日本の80%は、米みそと言われています。
麦みそは、大豆に麦麹を加えて作ったものです。
麦は、大麦やはだか麦が使われます。
九州地方や四国では、麦みそが一般的です。
豆みそは、大豆のみを原料にしたものです。
愛知や三重などでは、豆みそが一般的です。
八丁みそや赤だしみそが代表的な豆みそです。
そして、調合みそは、以下のものです。
- 米みそ・麦みそ・豆みそのうち、2種類以上混合したもの。
- 米麹に麦麹・豆麹を加えて、みそを仕込んだもの。
- それ以外の麹原料(穀類)を使用した場合。
見た目でいうと、麦みそは比較的わかりやすいものが多いです。
麦麹は、麦の真ん中に黒や茶色の線が入っています。
e-LineUP Mall 無添加麦味噌粗ずりセット ホームページ参照
このように、みその中に黒や茶色の線が入った
丸いものがあれば、それは、麦みそです。
麦みそと米みその調合みその場合は、判別が難しいですが、
少なくとも、麦みそが入っていることは、間違いありません。
豆みそも見た目でわかると思います。
このように、黒に近い色のものは、だいたい、豆みそです。
個人的な感想ですが、豆みそは他のみそに比べて、固い気がします。
また、豆みそは、愛知・三重などの東海地方が主な生産地なので、
東海地方のみそならば、豆みその可能性が高いということです。
麦みそも豆みそも独特の匂いがあるので、
慣れてくると、匂いでもわかるようになります。
味による3つの分類
みそは、味によっても3つに分類されます。
-
甘みそ
-
甘口みそ
-
辛口みそ
辛さ加減は、食塩の量で変わってきますが、
麹歩合でも、味は変わってきます。
大豆に対して、米麹や麦麹などの麹をどれくらい入れるかで、
麹歩合は変わります。
塩分が一定なら、麹が多い方が、甘口になります。
甘みその代表は、京都などの関西圏や
中国・四国地方の一部で使われる白みそです。
もう一つは、東京の江戸甘みそ。
こちらは、色は赤いですが、味は甘いです。
このように白いみそは、甘みそである場合が多いです。
甘みそは、甘いのが特徴であるとともに、
塩分濃度が他の味噌に比べて、低いです。
つまり、同じ塩分濃度のみそ汁を作るとしたならば、
辛口みそなどに比べて、使用量も多くする必要があります。
その他、調理のポイントは、
みそは加熱しすぎると、風味が飛ぶ
と言われていますが、
甘みそに関しては、
じっくり、火をいれてあげた方が、美味しくなります。
甘口みそと辛口みその違いは、
見た目だけでは、判別が難しいです。
味見しないとわかりません。
ただし、一般的に東北地方のみそは、辛口が多いとされています。
北上すれば、塩分濃度も高くなるといった感じです。
塩分濃度の違い。(米みその場合)
- 甘みそ → 5〜7%
- 甘口みそ → 7〜12%
- 辛口みそ → 11〜13%
色による3つの分類
さらに、みそは色によっても、3種類に分類されます。
- 赤みそ
- 淡色みそ
- 白みそ
大豆の原料の種類や大豆を煮るか蒸すかで、
出来上がるみその色は変わってきます。
また、麹が多いか少ないか、
発酵の途中でかき回すかどうかでも、色は変わってきます。
発酵・熟成期間が長ければ、長いほど、色は濃くなります。
逆に、白みそは、発酵期間が1〜3日と比較的短いものが多いです。
色の違いや濃淡に差が出るのは、
発酵・熟成中に起こる「メイラード反応」によるものです。
メイラード反応とは、アミノ酸と糖と反応して、褐色に変化することです。
ホットケーキの美味しそうな茶色もメイラード反応によるものです。
色の判別の仕方をざっくりいうと、
- 東海地方の豆みそ → 赤みそ
- 関西の甘みそ → 白みそ
- 淡色みそ → 赤みそより色が薄い。(ちがいは、塩分濃度も参考に判断する。)
料理の見た目に影響するので、
仕上げたい料理の見た目に合わせて、選んでいくと良いでしょう。
もちろん、味にも違いがあるので、その点は、お好みで。
形状による2つの違い。
みそは、形状によっても2つに分類されます。
- つぶみそ
- すりみそ
漉しているか、いないかの違いです。
つぶみそは、麹などがよく見えます。
すりみそは、漉しているので、ペースト状の滑らかなものが多いです。
すりみそになると、麦みそと米みその分類が難しくなりますが、
よく見ると、麦みそには、細く切断された麦麹の茶色の線が
混じったものが入っていることに気づくと思います。
みそは郷土食 地域ごとの食文化を表している。
みそは、地域によって、色も見た目も味もまったく違います。
日本列島は、地域によって、気候や風土が違います。
それに伴い、歴史や習慣・農作物も違います。
ということは、その土地で作られる加工品にも違いが生まれます。
発酵・熟成することで、完成するみそは、
原料や製法・環境を同じにしても、色や味に違いが出ます。
その土地の味の志向も加わって、みその風味も多種多様。
その土地ならではの、みそを食べることは、
その土地の気候・風土・歴史を味わうことになると言えるでしょう。
みその世界は奥深い。
大源味噌さんのホームページ 参照
そのほかにも、だし入りみそや減塩みそ、
生みそ、有機みそなど細かく分類すことができます。
しかし、大まかに言うと、
麹の原料の違い+味+色で分類できます。
甘口淡色米つぶみそ。
辛口赤麦すりみそ。
なかなか、複雑になってきますね。笑
では、ズバリ、
「おいしいみそとは?」
それは、
あなたがおいしいと感じたもの。
私たちは、生まれた地域も違えば食環境も違います。
生まれ育ってきた味が、人それぞれあります。
なので、おいしいと感じるみそも、それぞれ違います。
様々な、みそを試してみて、おいしいと感じるものを選んでみてください。
そのみそがあなたに合ったみそです。
必ず違いは分かると思います。
みそ作りは、時間もかかります。
環境や菌によっても、出来上がりが変わります。
とても、繊細で大変な作業です。
生産者さんの想いやこだわりが詰まっているので、
愛情をかけたみそは、必ずおいしさが違います。
あなただけのみそを探してみてください。
次回は、みその発酵・熟成について、まとめていきます。
お楽しみに。
みそソムリエが語る 〜発酵・熟成の秘密〜 - ほりさんの食選択応援Blog