スキル・レベルアップ情報 スポーツ栄養

高校野球の体づくりを変える!“食の自立”が強い選手を育てる理由

2025/06/11

広告

1. 「食べているのに、体が変わらない」の理由

「ちゃんと3食食べているのに、体重が増えない」 「栄養は気をつけているつもりだけど、体がかわらない」

そんな声を、私はこれまで多くの選手や保護者から聞いてきました。 でも、よくよく話を聞くと――

  • 朝ごはんが少ない(もしくは抜く日がある)
  • 食べている時と食べてない時の差が激しい
  • 自然と低カロリーのものが好き
  • 補食が“お腹が空いたら”になっている
  • お腹の調子が悪い日が多い
  • 疲れている日の食事が適当になる
  • 水分補給の意識がない
  • 寝るのが遅い

「意識しているつもり」でも、なかなか変化が出ないのは、 “自分で考えて食べる力=食の自立”が育っていないからかもしれません。

2. 食べることは、スキルでもあり、才能でもある

私は、食べる力は「スキル」であり「才能」でもあると考えています。

育ってきた環境や、小さい頃からの食習慣――そうした“下地”に差があるのは事実です。 もしかしたら、生まれ持った胃腸の強さなども違うかもしれません。でも、どんな選手でも、あとから「スキル」として身につけていくことはできます。

  • 食べやすい工夫をしている
    →ごはんに味をつけてみる(炊き込み・混ぜご飯・酢飯など)
  • 補食の回数を増やす
  • 補食でしっかり糖質が摂取できるものも食べている
  • 1回で食べられないなら、分けて2回にする
  • 不足している栄養素をなくす(タンパク質、鉄、カルシウムなど不足しやすい)
  • 飲み物を工夫する
  • タイミングも意識している

ちょっとした工夫で、選手は変わります。 無理なく続けられることが、“未来の体”をつくっていくのです。1回に量を食べることができないから、栄養量が不足してもしょうがない。そんな気持ちも分かりますが、本当に変わりたければ、不足してもしょうがないではなく、どうやったらその不足分を補うことができるかを考え、実行、継続してください。ちょっとした変化の積み重ねが、大きな差になります。

3. 高校2年半で変わる選手は、何が違う?

私がサポートしてきた選手の中で、最も成長した選手のひとりは、 「今日のごはんは500gにしてください」、「今、テスト期間で練習が短いから、お弁当のごはんは400gにしてください」と、自分から保護者の方に伝えていました。

その日どんな練習があって、 どれくらい疲れていて、 明日に向けてどう備えるのか――

彼は、毎日「自分で考えて食べる」を繰り返していたのです。

結果、3年間で体重は24kg増。球速も30km/hアップ。 そして、プロ野球選手になりました。

広告

もちろん、才能も努力も必要です。 でも、**「自分の体に向き合って、食べる力をつけたこと」**が、彼の未来を変えたと私は信じています。根本には、「どうしたら、野球のパフォーマンスが上がるだろう?」 それをとことん突き詰めていった結果、トレーニングや栄養にも興味を持ち、野球に打ち込んでいました。

4. 自己管理力を育てる“土台”としての食事

プロ選手の現場でも、長く活躍している人ほど、自己管理能力に長けています。

  • オフは自由に食べて楽しむけど、やるときはやるなどメリハリがある
  • シーズンの開幕に向けて、逆算して体を整える

トレーニングも、食事も、自分なりに考え調整する術を持っているのです。

高校時代に、自分で食べる量を盛り付ける。 「今日はこれを食べたい」と自分の意思を伝える。

そんな小さな経験の積み重ねが、将来の自己管理力につながり、 結果的に“パフォーマンスの向上”につながり、選手人生を伸ばす結果となるのです。

5. 食の自立が生む、“生きる力”

「食べなきゃ」じゃなく、「食べたい」「食べよう」に変わったとき、 選手の目つきは変わります。

食の自立は、体づくりだけでなく、

  • 自分の状態を把握する力
  • 未来に向かって考える力

こうした“生きる力”に、確実につながっていきます。

だから私は、すべてのアスリートに 「食の自立」をテーマにしたサポートを届けたいと思っています。

効果的な増量方法|“ただ食べる”ではなく“戦略的に増やす”

少しだけ、専門的な話をすると…

効果的に体重を増やすためには、1日の必要エネルギー量に+500〜1000kcalを加えるのが理想的とされています。
これは、**オーストラリア国立スポーツ研究所(AIS)**でも示されている基本指標です。

例えば、+500kcalとはごはん1合分に相当します。
つまり、今の食事量で体重が変わらないなら、ごはん1合分プラスするだけで、増量のスタートが切れるのです。

増量は「脂肪を増やさず」にできる?

実際の増量では、ある程度の体脂肪の増加は想定内です。(ここでは理由を割愛しますが、体脂肪を落としながら、筋量を上げるということは非常に難しいため、増量期・減量期と組み合わせることが多いです。)
ただし、できるだけ脂肪を増やさず、筋肉量を増やすために有効なのが、**「こまめに食べる」**という方法です。

  • 例:4時間おきに食事や補食をとる
  • 補食を取り入れて、エネルギーを無駄なく使う工夫が重要です

エネルギー収支がプラスにならないと、増えない

これは基本中の基本ですが、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回らなければ、体重は増えません
「体重が増えない」ということは、まだ何かを変える必要があるというサインです。

補食は“プロテインだけ”では足りない?

「補食=プロテイン」と思っている選手も多いですが、それだけでは不十分な場合もあります。
筋肉を増やすためには、除脂肪体重(筋肉など)を増やすことが重要で、タンパク質の摂取は確かに大切です。

しかし、すでに食事である程度タンパク質を摂れているなら、補食では糖質を中心にしたエネルギー摂取を優先するのも有効です。

補食に糖質をおすすめする理由

  • ✅ コスパが良い
  • ✅ エネルギーバランスが整いやすい(P:F:C比)
  • ✅ 消化が早く、次の食事に影響しにくい

一方、タンパク質や脂質の多い補食は、消化に時間がかかり、次の食事の食欲を減らすことがあります。
つまり、「補食をしっかり食べたせいで、夕飯が食べられなかった…」では逆効果。

糖質中心の補食アイデア(実例)

  • おにぎり(特に一口サイズや焼きおにぎりが食べやすい)
  • バナナ
  • エネルギーゼリー
  • どら焼き
  • みたらし団子
  • カステラ
  • 羊羹 など

体重は増えた…でも体脂肪だけが増えていた?

「体重が増えた!」と喜んでいても、中身を見たら体脂肪だけだったというケースもあります。
それでは、パフォーマンスの向上には、なかなかつながりません。

体脂肪だけが増えてしまう原因

  • ドカ食いや不規則な食習慣
  • 正しいトレーニングができてないorトレーニング不足
    (筋肉はトレーニングしないと増えない)

「何を食べたら筋肉がつきますか?」という質問には、私はこう答えます。
「そんな食べ物はありません。まずはトレーニングしてください。」

ただし、トレーニングの効果を最大限に引き出す食べ方はあります。
選手の生活リズムや体の状態に応じて、
「〇〇を何時に食べると筋肉量を増やすのに効果的かも」と伝えることはよくあります。
繰り返しになりますが、「その食べ物を食べたから筋肉がついた」わけではありません。
筋肉が増えたのは、しっかりとトレーニングを行った上で、適切なタイミングでその食べ物を摂ったからです。

この“順番の理解”は、将来どこまで伸びるかにも関わる大切なポイントです。

この本質を理解できていないと、
「◯◯って食べてもいいですか?」
「〇〇は太りますか?」
といった、目的のない“許可を求めるだけの質問”で終わってしまいがちです。
そして、そういう選手ほど、なかなか体が変わらないというのは、私が実際の現場で何度も見てきたことです。

だからこそ、「知らないこと」は何よりももったいない
正しい知識と考え方を身につけることで、トレーニングの成果も、体づくりも確実に変わっていく。

📩 栄養相談・セミナーのご依頼はこちらから!

私はこれまで、プロ・社会人・高校生など幅広いアスリートに向けて、 全国各地で年間50件以上の栄養セミナーや講演を行ってきました。

✅ 高校球児向けの“試合を想定した食事戦略” ✅ 保護者・指導者向けの“準備・声かけ・食事の工夫” ✅ チームごとの課題に合わせた“個別対応”も可能です!

📩 セミナーのご相談・記事監修のご依頼は、以下からお気軽にどうぞ!

🔗 ▶ お問い合わせページ:https://hori3.com/inquiry/

💬 「こんな内容を話してほしい」など、ざっくりとした相談も大歓迎です!

-スキル・レベルアップ情報, スポーツ栄養