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【高校野球・部活差し入れガイド】選手・現場のスタッフが本当に喜ぶ!安全で失敗しない差し入れ選び|プロチーム帯同の管理栄養士が解説

2025/06/04

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その差し入れ、本当に選手の力になっていますか?

頑張る高校球児たちへの差し入れ。喜んでほしい一心で選んでいる方も多いと思います。でも、「せっかく渡したのに食べられなかった」「余ってしまった」なんて声も聞いたことがありませんか?

実は、選ぶ内容やタイミングによって、差し入れは「ありがたい応援」にも「ちょっと困るモノ」にもなりうるのです。

また、差し入れは「誰に向けたものか」「どんな場面か」、そして「安全性」によって大きく異なります。

たとえばプロチームでは、ドーピング検査の関係から個人の手作り差し入れはNGというケースも多く、完全包装された市販品やメーカー表示が明確なものに限られることがあります。

さらに、現場の意見としても、腹痛や食中毒のリスクを避けることが最優先。 特に夏場など気温が高い環境では、調理後に時間が経過した食品はNG。 HACCP(食品衛生管理手法)でも、調理後の喫食までは原則2時間以内が推奨されており、それを超える場合は10℃以下または65℃以上での保管が必要とされています。温度管理ができない場合は、原則廃棄対象になります。

そのため、家で作ったおにぎりやサンドウィッチを全員に配るといった差し入れは、たとえ気持ちがこもっていてもリスクが高いため、現場では避けるのが基本です。

ポイントは、個包装されていて衛生的に管理しやすいものを選ぶこと。現場では、そうした配慮が何より信頼につながります。

また、「練習」と「試合」でも差し入れの目的や内容は変わります。

  • 試合・練習前なら、エネルギー補給・水分補給に役立つものが中心
  • 練習・試合後なら、消化に良いものでリカバリーに役立つ補食が喜ばれる

加えて、アレルギーへの配慮も重要です。 ナッツ、乳、小麦、卵などを含む食品は、個包装でも原材料表示のあるものを選び、可能であれば事前にスタッフへ確認を取ると安心です。

一方で、学生チームでは「食べやすさ」「保存性」「配りやすさ」を意識すれば、工夫次第で喜ばれる差し入れがたくさんあります。

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この記事では、管理栄養士の立場から、実際に喜ばれた差し入れと、避けたほうがいい差し入れを解説していきます。

花園での試合後には、「力餅」さんのおはぎを提供してました。選手もスタッフも喜ぶ納得のおいしさ。いつも、試合中に旅行代理店の方と買いに行ってました。私の特権は、お店で自分用に出来立てのおはぎを食べることができること。笑
本当に美味しく、チーム用とは別に個人で選手やスタッフの方から、お土産として10個や20個頼まれることもありました。

プロチームでは“手作りの差し入れ”はNG?その背景とは

バレンタインの時など、よく選手宛に手作りのチョコやお菓子が届くことがあります。選手にとっては本当にうれしく、大きなモチベーションになるものです。

しかし実際には、そのお菓子を食べることはできません。安全で、ドーピング検査に引っかかる可能性は限りなくゼロに近いとしても、現場の立場から「選手が食べていい」とは言えないのが実情です。

0.1%でもリスクがある限り、選手が口にすることはありません。そういった手作りの差し入れは、スタッフが丁寧に感謝を込めていただくことがほとんどです。

また、チームによっては公式ホームページに「手作り品は受け取れない」と明記されていることもあり、差し入れ自体をお断りするケースもあります。

個人の気持ちがこもった手作り差し入れほど、現場としては“切ない対応”をせざるを得ないのが現実。だからこそ、安全性と信頼性の高い差し入れであっても、スタジアムでの応援が結果的にいちばん選手の力になります。

共通して喜ばれる差し入れとは?選び方のヒント

どの競技、チームであっても、共通して喜ばれる差し入れには次のような特徴があります。

  • 現場でたくさん使い、何個あっても嬉しいもの
  • ある程度の保存がきくもの(常温保管が可能)
  • 糖質や水分がしっかり補給できるもの
  • その日余っても次の試合や遠征で使えるもの

たとえば、スポーツドリンク、エネルギーゼリー、経口補水液、プロテインミルクなどは、どの現場でも重宝されます。

また、夏場であれば、氷・冷却シート・熱中症対策グッズなども喜ばれます。差し入れというと「食べ物」を思い浮かべがちですが、現場のニーズを捉えた非食品系の差し入れも効果的です。

さらに、高校生ならではの“嬉しいアイテム”として、制汗スプレーや制汗シートなどもおすすめです。そういうお年頃ですからね。笑

そして、競技や対象によっても好まれる差し入れは変わります。

  • 屋外競技(野球・サッカーなど):暑さや熱中症対策が重要。水分補給・冷たいものが重宝。
  • 屋内競技(バスケット・バレーボールなど):1日複数試合や短いインターバルも多く、塩分チャージ系の飴や素早く食べられるゼリーなどが役立ちます。
  • 男子選手:ボリューム重視。「たくさんあってうれしい」が基本路線。
  • 女子選手:見た目や配慮性も重視され、甘味系なども人気。
  • プロチーム:ドーピング・衛生面の理由から市販の個包装品のみ可。
  • 学生チーム:気持ちや栄養性を評価してもらえる傾向がある。

また、NGとなる差し入れ(手作り・保管が難しい食品など)は、競技や対象に関係なく共通して注意が必要です。差し入れ選びで最も大切なのは「安全性」と「配慮」。

相手の競技、年齢層、性別、季節や天候に合わせた差し入れ選びが、さらに喜ばれるポイントです。ここでは割愛しますが、もっと細かくいうと、例えば試合後の差し入れを想定した場合に、次の試合がいつなのかや何時に試合が終わるかでも、実は選ぶものは少し、変わってきます。そこまで、想定できたなら、もうあなたはそこらへんの栄養士より、プロフェッショナルです。笑

選手がもらって嬉しい!おすすめ差し入れ10選

ここでは、実際の現場で「もらってうれしい!」と好評だった差し入れを10個厳選して紹介します。また、私が差し入れするなら、これかなというものを紹介します。

1.エネルギーゼリー

  • 試合前後やインターバル中にもすぐ飲めて、軽くて便利
  • エネルギー補給の観点からも、消化が早く、1個で180kcal摂取できるのは、ありがたい
  • 常温でも保存可能

王道にはなりますが、やはりエネルギーゼリーは何個あってもうれしいと思います。多くの選手が個人でも用意はしていると思いますが、値段もそこそこするのでチームとしても何個あっても助かります。

2.スポーツドリンク(ペットボトル)

  • 糖質・電解質の補給に優れ、暑い日の水分補給に最適。
  • 常温でも保存可能

こちらも王道ですが、やはり何個あっても助かります。試合前のエネルギー補給にも、試合中や試合後のエネルギー補給、また水分補給においても、重宝されるものだと思います。ジャグなどで管理して、選手に提供しているチームなら、2ℓのタイプでもマネージャーさんはうれしいと思います。予算の面などで、多くのチームが粉タイプのものを水で薄めているのではないかと考えられます。意外と、現場で水の確保が難しいことがあったり、ジャグの持ち運びが大変な場合もあります。ペットボトルなら、そのままジャグに入れて、氷を入れたらOKです。ベンチまでは、箱ごと選手が持っていけば、助かるでしょう。用意する水によっては腹痛のリスクもあるため、ジャグがしっかりと綺麗に管理されているのなら、ペットボトルの方がメリットは多いです。試合後を想定すると、500mℓの持ち運びしやすいものの方が選手はうれしいでしょう。

3.経口補水液

  • 特に熱中症対策として有効。体調不良時のサポートにも。
  • 痙攣しそうな時に特に大活躍

特に夏場に重宝される経口補水液。目的によって、飲み物を使い分けることが大切なのですが、特に足が攣りそうな時や大量に発汗した時などは、経口補水液がチームとしてストックしてあると助かります。【試合前・練習中・日常別】アスリートの水分補給戦略|プロチームを支える管理栄養士が伝授! - ほりさんの食選択応援Blog

4.カステラ

  • 試合2時間前の補食に最適
  • 糖質も補給でき、消化も良い
  • タンパク質の摂取も可能なので、試合後でも使える
  • 適度な甘みもあり食べやすい

次におすすめするのは「カステラ」です。特におすすめなのは、文明堂さんの「Vカステラ」
1本で約150kcal摂取でき、個包装で持ち運びやすく、食べやすい。常温で60日間保管可能。店頭だけでなく、ネットやAmazonでも購入可能。スポーツ現場に特化したカステラで私も差し入れでしばし、使います。(小麦・卵アレルギーには注意) Vカステラでなくても、カステラはおすすめです。コンビニでも個包装されたものが売ってます。バームクーヘンなども良いかもしれません。

5.バナナ

  • 試合90分前の補食に最適
  • 糖質+カリウム、マグネシウムが摂取でき、足の痙攣対策にもおすすめ

試合当日に購入し、持っていけるならバナナもおすすめです。ただ、30℃を超える暑い日だと、保管場所によっては傷みやすかったり、選手によっては、暑い日にあの食感のものはあまり好きではないという声もあるので、気温は考慮する必要はあります。ただ、栄養価的にはかなりおすすめです。

6.プロテインミルク

  • 練習後のタンパク質補給に◎。市販品なら保存性も高く扱いやすい。
  • 常温でも保管可能

試合後に手軽にリカバリーできるので、プロテインミルクなどもおすすめです。実際にラグビーの試合後にもチームで提供しています。乳製品なので、試合直前などは、万が一の腹痛や下痢のリスク(乳糖不耐症etc.)を考え提供しませんが、試合後は重宝されるでしょう。荷物が多い場合、プロテインシェイカーやプロテインを持っていくのは、意外とかさばり、また飲んだ後、洗うのもめんどくさいと感じる選手もいるのではないでしょうか。その点でも、プロテインミルクは便利だと思います。

7.あんぱんorどら焼き

  • 試合後のリカバリーに必要な「糖質」+「タンパク質」が補給できる
  • 甘みがあり、食べやすい

試合後のリカバリーを考えると、糖質とタンパク質が同時に摂取できるものがうれしいです。また、個包装されてますし、大きさによっては食べ応えもあり、差し入れには向いています。賞味期限やアレルギーの点では、不向きな選手もいると思いますが、クリアできれば、リカバリーにうってつけの差し入れになります。

8.塩分チャージ系のタブレット・スポーツキャンディー

  • 試合中のちょっとした合間でも食べやすい
  • 短時間で効果が発揮できる可能性がある
  • 甘みがうれしい

特に夏場や1日に複数試合をする競技や次の試合やセットまで時間が短い競技ではあるとうれしいと思います。バスケやバレー、バドミントンなどの室内競技では重宝されるのではないでしょうか? 大きさを考えると、1個で発揮される効果は、爆発的ではないかもしれませんが、即効性は魅力的だと思います。

9.冷却シート・氷・瞬間冷却パック

  • 夏場は喜ばれる定番アイテム

熱中症の対策には、水分補給なども重要ですが、物理的に体温を冷やすことも重要なシチュエーションもあるでしょう。ラグビーチームでも練習や試合後には、リカバリーのためにアイスバスに入ります。試合後にアイスバスに入るのは難しくても、氷などがあれば、いろんな用途に使えます。特にチームで用意をする場合、学校を出発するときに氷をクーラーボックスに入れていくと思うので、試合後は多くの氷が溶けていることが多いでしょう。試合後に氷があれば、チームとしてはかなり助かるのではないでしょうか。冷却シートなどは、持ち運びもしやすく、夏場は重宝すると思います。

10.制汗シート・スプレー

  • 特に高校生男子に人気。練習後の気分転換にも◎。

試合後、プロのチームではシャワーやお風呂に入れますが、高校生の大会後は、それは難しいでしょう。ただ、汗だくのまま帰るわけにはいきません。着替えはマストです。これも、個人で用意していると思いますが、なんだかんだほぼ毎日使うと思うので、何個あってもうれしいと思います。口にするものではないので、腹痛のリスクなども心配する必要がありません。

そのほか、グミや暑い日なら、アイスキャンディーみたいなものも良いかもしれませんね。女子選手には、個包装されたかわいいお菓子もたまには、良いかもしれませんね。

体のリカバリーとしては、不向きでも、テンションを上げるために、時にはジャンキーなものがあってもよいのではないでしょうか?心の栄養ですね。次の週に試合がなく、連戦で疲労度がマックスの時に、ケンタッキーやハンバーガーを試合後の補食として出すと日本人・外国人選手問わず一部のラグビー選手は、大盛り上がりすることが多いです。

まとめ|“応援の気持ち”が1番のパワー

差し入れは、ちょっとした工夫で「ありがたいもの」にも「困るもの」にもなります。

✔ 保存性・配りやすさ・食べやすさを意識する
✔ 派手さよりも“使える内容”を選ぶ
✔ チームの状況に合わせて選ぶ

特別なものや高価なものではなく、相手の立場を思いやって選ぶことこそが、最高の差し入れです。

「どうしても何か渡したい」と思う保護者の方もいらっしゃるかもしれませんが、一番の応援は、選手の活躍をしっかり目に焼き付け、球場で声援を送ることです。それだけで、選手は本当にうれしいものです。

それでも何か形に残る差し入れを届けたいときには、この記事の内容を参考にしてみてください。
あなたの優しさが、きっと選手たちの力になります。

(※差し入れに迷ったときは、スタッフや指導者に一言相談してみるのもおすすめです)

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私はこれまで、プロ・社会人・高校生など幅広いアスリートに向けて、
全国各地で年間50件以上の栄養セミナーや講演を行ってきました。

ラグビーチームに帯同しながら“試合現場でのリアルな食事設計”を行ってきた経験を活かし、
高校球児や保護者・指導者の皆さんにも、実践的で柔軟なサポートを行っています。

✅ 高校球児向けの“試合を想定した食事戦略”
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