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【畑日記 番外編】なぜ埼玉ではなく天塩だったのか。37歳、2拠点生活で見えてきた地方の価値

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「なんで埼玉じゃなくて、わざわざ北海道で畑をやっているんですか?」

最近、そんな質問をされることが増えました。(畑をやっていることを知っている人はあまりいないけど。笑)

埼玉でスポーツ栄養士として働きながら、北海道・天塩町で春菊を育てる。

自分でも少し変わった生活だと思います。

でも、そこにはちゃんと理由があります。

今年は耕運まで終わりました

33歳、自分探しの旅の始まり

今から4年前、33歳の頃。

当時所属していたラグビーチームが、不本意な形でシーズンの活動休止となり、契約も満了になりました。

ありがたいことに、別のチームから声をかけていただき、管理栄養士としての仕事は続けられることになりました。

それでも、心のどこかで不安がありました。

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「また仕事がなくなったら?」

「栄養士以外の武器はあるんだろうか?」

「本当にやりたいことって何だろう?」

今思えば、少し大げさかもしれませんが、“自分探しの旅”のような時間だったのだと思います。

あの時、仕事がなくなってでもこのような自分探しの旅(実際は住み込みのバイト)に行ってよかったと今でも思います。(金銭面は、、、)

1ヶ月のつもりが、1年半になった

最初は、1ヶ月くらいのつもりでした。

自然の中で考えてみたい。

ちがう世界を知ってみよう。

それなら北海道がいいな。

そんな軽い気持ちでした。

でも気づけば、その旅は1年半続いていました。

初めての滞在先が北海道・厚沢部町のカボチャ農家さん。

ここで、農業の楽しさと自然の中で暮らす気持ちよさに目覚めてしまいました。

富良野のキャンプ場&ジンギスカンレストラン。(星空が最高!!)

奈良の吉野の柿農家さん。(フルーツも楽しい!)

茨城の常総のレタス農家さん。

福島県南相馬市のブロッコリー農家さん。

千葉県成田市の有機栽培農家さん。

北海道・小清水町のレタス農家さん。

それぞれの土地で働かせてもらい、その土地ならではの暮らしや価値観に触れました。

そして、気づいたら農業の楽しさと魅力、可能性から抜け出せなくなってました。

そして常総では、

「春菊、面白いんじゃない?」

と勧められました。

今思えば、この一言が今の自分につながっているのかもしれません。

(社長ありがとうございます。私の農業の師匠です!)

社長、奥様と従業員のインドネシア、中国の方とのクリスマス会

北海道の厚沢部町のカボチャ農家さん。初めての農業で農業の楽しさを感じた場所。(カボチャの収穫はめちゃくちゃハードなのであまり人気がないそう、、、。ほりいは体力◎なので1ヶ月ずっと楽しかった)
*カボチャの総面積は30町以上!東京ドーム6個分以上

天塩との出会い

きっかけは、おのっぷ農園さんの菊芋茶づくりのお手伝いでした。

10日間、天塩町に滞在。

3月の北海道は、とにかく寒い。

雪下ろしも初めての経験でした。

正直、特別な観光地を巡ったわけでもありません。

でも、不思議と心地よかったんです。

広い空。

静かな時間。

自然の中で体を動かすこと。

温泉やサウナに入ること。

牛や鹿を見かける日常。

埼玉では味わえない時間が、そこにはありました。

そして、「また来たいな」と思いました。

翌年も、また天塩に足を運びました。

雪下ろしの様子。これは家の屋根の上です。

野生のきつね。こういった動物との出会いも癒し。(どんだけ人生疲れとったんだ。笑)

リセットではなく、“初期化”

埼玉でも、僕はサウナや岩盤浴が好きです。

でも、天塩で感じる感覚は少し違います。

癒される。

回復する。

もちろんそれもあります。

でも、それ以上に近いのは、

「自分自身が初期化される感覚」。

畑で無心に作業をしていると、

本業のセミナーのアイデア。

地域の食材の可能性。

自分のこれから。

そんなことが自然と頭に浮かんできます。

都会には情報も、人も、やるべきこともたくさんあります。

でも天塩では、頭の中のノイズが少しずつ消えていく。

そして、本当に大切なことが見えてくる。

だから、また行きたくなるのだと思います。

農業の可能性を感じた

なんだかんだそのような生活が1年半経った頃、スポットですが、

新しいラグビーの仕事も決まりました。

だから、農業で生きていこうと思ったわけではありません。

でも、農業には可能性を感じました。

美味しい野菜を作る技術。

食材そのものの価値。

ストーリー。

マーケティング。

伝える力。

管理栄養士として積み重ねてきた経験が、もしかすると農業にも活かせるのではないか。

そう思うようになりました。

それなら、自分でやってみよう

いつまでも住み込みのバイト生活をしていくわけにもいかないし、
じゃあ、自分で畑をやってみよう。

そう思いました。

でも、埼玉では現実的ではありませんでした。

本業がある中で農業学校に通うのは難しい。
(さいたま市で農業をやるには、農業学校に1年いき、さらにそこから数年、畑を実際に貸してもらって実習という形で経験を積めば、その畑がもらえるという仕組みがあります。)

だからと言って、素人同然の人間に畑を貸してくれる人もなかなかいない。

また、本気で新規就農するなら、農家さんでの修行も必要だと思います。そこで学ぶのが1番早いとも思います。なんでもその道のプロに学ぶのがよいと考えています。

それでも、一般的に自分で畑を始め、事業にする場合、大きな初期投資、借金も必要になります。

もちろん、その道を選ぶ人を尊敬しています。

でも、自分には違いました。

小規模でまずは一人でできる範囲で、やってみてそこから広げていく。

そう考えていました。

その一方で、天塩には土地がありました。

特におのっぷ農園(今の畑)の周りの地域は広がる限り、牧草地と山です。
*天塩町は酪農の町なのです。

「まずはやってみたら?」

そして、応援してくれ、好きにやっていいよと言ってくれるそんな環境がありました。

だから今、自分は埼玉と北海道を行き来しながら春菊を育てています。

→ 最北端の路地春菊づくりを始めた経緯はこちら

一面牧草地。ここ好きに使っていいよ!

ひたすら草刈りをして

ひたすら耕運。牧草地だから根が深くて土が硬い

それでもなんとか畑に。やれば意外とできるんですよ。勉強も大事だけど、まずやっている。それも悪くない。

2拠点生活のリアル

正直、2拠点生活はキラキラしていません。

飛行機代もかかります。

レンタカー代もかかります。

移動も大変です。

去年は、埼玉と北海道を何度も往復しました。

*実際の例
① 6月滞在(約4週間)*主に草刈り、耕運、種まき

  • 住居費 28,000円 (移住者促進住宅)
  • レンタカー 45,000円 (札幌のワンズレンタカー)
  • 航空券(往復) 24000円 (*新千歳-羽田 早割)
  • ガソリン代 約20000円 (天塩町は札幌から約260km+日々の宿舎から畑までの移動+観光)
  • 肥料や種、道具etc. 約35000円

合計132,000円 *その他、食費や温泉、ちょっとした観光代etc.

② 1泊2日の滞在例 *収穫etc. 7-11月の間で月に1-2回 合計6回

スケジュール
・土曜日の早朝(4:45) 出発
・6:55 羽田空港 8:25 新千歳空港
・レンタカーで天塩町へ
・13:00ごろ 畑到着 その後すぐ農作業
・19:00ごろ 近くの温泉へ
・20:30 はまなす or セイコーマートで夕食
・道の駅の駐車場で仮眠
・日曜日の6:00 起床
・7:00 農作業開始
・12:30 天塩町出発
・18:00 新千歳空港
・19:00 空港で夕食
・21:20 東京へフライト
・24:30 帰宅
次の日、ラグビーの仕事

こんな感じのスケジュール。まぁまぁタフ。それでも畑に可能性を感じています。時には、早朝や最終便の航空券が高すぎる時は、成田からJetstarで行くこともありますし、最終便が高い時は、新千歳空港の温泉施設で仮眠をして、朝1番の便で東京に戻り、そのままラグビーの仕事に行くこともありました。

こんな感じで1泊2日でも4-5万円近くはかかります。

なんだかんだ30-40万くらいかかったかな?(昨年の売上は0なので大赤字)
*でも2年目以降にペイできる可能性を感じています。とはいえ、きつい、、、
農業の補助金関連はいろいろありますが、正式なルートを踏んでないのでもらえないでしょう。なるべく貰わずに頑張っていきたいと考えています。(いろんな制約が、、、)
天塩町の方、何か補助金ください。笑 交通費が、、、

それでも続けているのは、天塩にしかない価値を感じているからです。

1泊2日しかないから大雨だろうがやるしかないのです。笑 傘さしながら収穫したことも

2025年の春菊栽培の様子はこちら
・最新の様子はこちら

天塩の価値とは何だろう

正直、最初は「自然が豊かだから」くらいに思っていました。

でも、3年通って感じるのは、それだけではありません。

① 頭の中のノイズが消える

埼玉では、

  • 選手のこと
  • 資料作成
  • メール
  • SNS
  • お金のこと
  • 将来のこと

気づけば、常に何かを考えています。

でも天塩では、

「今日は畑を耕そう。」

それだけ。

すると不思議と、

「次のセミナーはこう伝えよう。」

「この食材で商品を作れないかな。」

「本当にやりたいことって何だろう。」

というアイデアが浮かんできます。

僕にとって天塩は、仕事から離れる場所ではなく、

仕事や人生を整理する場所

なのかもしれません。

本業ではラグビーチームにフル帯同
・スポーツ栄養セミナーや個人相談もやってます


② 自然は、やっぱり強い

正直、都会には敵わないものがあります。

広い空。

オロロンライン。

夕焼け。

静かな夜。

鹿や牛がいる日常。

野鳥や花、草原。

「何をして遊ぶの?」と聞かれることもあります。

でも、何もしない時間が贅沢なんです。

自然の中で体を動かし、

温泉やサウナに入り、

眠る。

それだけで、

自分の土台が整っていく感覚

があります。

オロロンライン。高速を降り、留萌から天塩町でずっと海沿いを運転。晴れの日は最高の景色!本当に気持ちいい。

天塩町は論文でも発表されていますが、夕日が綺麗な町として有名です。天塩川から見る夕日は圧巻です。また、利尻富士も綺麗に見えます。写真ではなかなかこの感動を100%伝得ることができないので、ぜひ、天塩町に来て、実際に見てほしいです。

春菊のパッケージにしてみました。


③ 食べ物がおいしい

栄養士だからかもしれませんが、

食べ物の美味しさは大きいです。

大きなしじみ。

たこ、せせらぎサフォーク、宇野牧場さんの牛乳、ぺこちちさんのチーズ。

そして野菜。(野生のセリとかミツバとかも生えています。)

派手な料理じゃなくても、

素材そのものが美味しい。

「食べる」という当たり前のことが、

少し特別になります。

しじみがでかい!

はまなすさんで必ず食べるのはアンコウザンギ!


④ 小さく挑戦できる

これが一番大きいかもしれません。

さいたま市で畑をやるには、

農業学校に1年間通い(しかも昼)。

1-2年の実地研修。

学校に行かないとしても、知らない人ばかり、ほぼ素人に畑を貸してくれる人はほぼいない。

また、正式に研修を受けているわけではないので、補助金とかも多分申請しても通らない。

もしやるにしても、土地代や農機具代などの莫大な初期投資。

そして、1年目から順調に食べていくだけの収益がある人はほんのわずか。
(苦しみの農業)

現実的な壁がありました。

でも天塩では、

「まずはやってみよう。」

と思えて、本当にできてしまう環境。

実際に、私は春菊づくりを始めました。

天塩町には多くの映画監督の卵や写真家の卵(学生)が訪れるのも、

もしかすると同じ理由なのかもしれません。(天塩町だと撮影も無料!)

完璧じゃなくても、一歩踏み出せる余白がある。

*卒業制作やプロモーションビデオ、冊子等を作っている人も。若いのにすごいよね!

なんだかんだ春菊、パクチー、ハーブ類を収穫することができました。


⑤ 「答え」ではなく「問い」が生まれる

天塩町に行けば人生が変わる。

そんなことは思っていません。

必ずしも移住をすすめたいわけでもありません。

でも、

「このままでいいのかな?」

「本当にやりたいことって何だろう?」

「自分にできることって何だろう?」

そんな問いと向き合う時間は増えました。

そして不思議なことに、

その問いに向き合っている時間のおかげで、本業の方も良い循環が生まれました。

本業はチームのために、選手のために身を粉にして、選手と共に戦う覚悟で働き、天塩に来て、リフレッシュ。オンとオフの切り替えがうまくいくようになりました。場所が遠いからこそ、ちょっとした旅行気分でオンとオフの切り替えがうまく行っていると思います。(旅行とはいえないハードスケジュールですが。笑)

車での移動なので、道の駅とか寄るのも楽しいですよ! これは雨竜町のひまわり。圧巻の光景でした。


だから私にとって天塩町は、

「人生を変えてくれる場所」ではなく、

「人生を見つめ直す場所」

なのだと思います。

33歳の自分探しの旅の途中で出会い、

37歳になった今でも通い続けている理由は、

きっとそこにあるのだと思います。

おわりに

春菊づくりを始めたのは、地方創生をしたかったからではありません。

33歳の頃、自分の武器を探していた中で出会ったのが天塩町でした。

37歳になった今でも、自分探しが終わったとは思っていません。

人生をすべて賭けるわけでもなく。

少しずつ、新しい挑戦を続けている途中です。

でも、4年前には想像もしなかった景色の中で、今日も畑に立っています。

そして、その時にはない感情もふつふつと湧いてきました。

農業や自分のできることの可能性、自分にしかできないやり方で地域貢献ができそうな予感。

今まで、経験してきた仕事が少しづつ形になり、また違った環境でもそれが新たな価値をうみ、相乗効果となって、循環していく。そんな未来がちょっとだけ見えています。

春菊が町にもたらす金銭的な利益や雇用は、正直、ほぼないかと思いますが、自分にしかできないアイデアがいろいろ湧いています。それは、間接的にまちの活性化や利益につながると考えています。

現在はスポーツ栄養士として活動しながら、北海道・天塩町で春菊栽培にも挑戦しています。

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