スポーツ栄養 食事

アスリートに必要な栄養とは? 〜なぜ食べるのか?〜

「ひとは、なぜ食べるのでしょう?」

食事にはいろんな役割があり、いろんな答えがあると思いますが、
根本的に「ひとは生きるために食べます。」
食事をして、栄養を摂取しなければ、私たちは生きることはできません。
生きるためには、5大栄養素と呼ばれる
「炭水化物・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラル」をはじめ、
様々な栄養素を摂取する必要があります。


それでは、アスリートのあなたは「なぜ、食べるのでしょう?」
「生きるため」だけでしょうか?
アスリートにとって、大切なことは何でしょうか?
いろいろな答えはあると思いますが、
私は、「結果を出すこと」だと考えています。
最高のパフォーマンスを発揮し、結果を残す。
そして、長期的には、現在よりも良いプレイヤーとなり、充実した人生を歩んでいく。

(実際に、Season開始時のMTG時に使っていた資料)

では、最高のパフォーマンスを発揮するためには、何が必要でしょうか?
いろいろやるべきことはたくさんありますが、
「日々のトレーニング効果を最大化すること」が大切です。
そして、そのためには、毎日の「準備」「リカバリー」が必要不可欠です。
地味かもしれませんが、この毎日の積み重ねが、非常に重要です。
そして、この「準備」と「リカバリー」において、栄養が重要な役割を担います。

ただ、食べるだけでなく、「何をいつ、どれくらい食べるのか?」
さまざまな栄養素がある中から、私たちは目的に合わせて、量やタイミングなども考慮した上で、食事を選択していく必要があります。
また、ひとりひとり、体も違えば、体質も違い、腸で吸収率も違います。
さらに、競技も違えば、運動特性も違います。そして、スケジュールやピリオダイゼーション
(試合前/試合中/試合後/練習時/筋量Up/筋力Up/スピードUp/ピーキング/オフ/増量/減量/リハビリetc.)によって、必要な栄養素やバランスは違います。

だからこそ、「私は何を食べたらいいのか?」と悩むアスリートの方も多いのではないでしょか?実際に、プロのラグビーチームで選手にお伝えしていたことを、これから目的別に少しずつ紹介していこうと思います。

「これを食べれば、必ず試合に勝てる!!」
そんな魔法の食べ物があればいいなと思いますが、実際には、そのような食べ物はありません。また、食事がどれくらい実際の試合時の一瞬のプレーに影響したのか。それも正確にはわかりません。もしかしたら、効果はほんのわずかだったり、あまり効果はないのかもしれません。

しかし、少なくとも言えることは、「あなたはあなたが食べたものでできている。」
そう思えば、食べるものや食べる量によって、何か変わるのではないかと思いませんか?
それならば、できる限り最高の準備を行い、納得のいく準備をして、試合に望み、自分の力は出し切ったと思う方が幸せではないでしょうか?

トレーニングだけではなく、一緒にあなたの栄養や休養にも少し目を向けてみませんか?
今回は、アスリートにおける食事の役割と必要な栄養素についてお伝えします。

アスリートにおける食事の役割とは?

アスリートと一般の方の食事は何が違うでしょうか?
基本的な食事のベースとなる部分は一緒でも必要な栄養素や量、タイミング、食事回数などが変わってきます。それだけではなく、食事の目的が違うので、食事の役割が少し変わってきます。

アスリートにおける食事の意義

なぜ、食べるのか?

  1. トレーニングにおける体づくりや効果を最大化するため
  2. 試合でパフォーマンスを発揮するため
  3. 怪我や故障を予防するため

アスリートにとって、体づくりが重要なことは言うまでもありません。
なぜなら、あなたのパフォーマンスを表現するのは、あなたの体であり、体が資本だからです。

以前、メジャーリーガーのダルビッシュ有さんが体づくりにおける持論を述べておられました。

「1年間、投げ続けるためにはしっかりと体を作ることが大事だし、それができれば自然と技術も伸びてくる。体づくりを怠るようだといい選手にはなれないと思っているんで」

https://number.bunshun.jp/articles/-/148276?page=3

そして、その体づくりには、計画されたトレーニングはもちろん、栄養や休養も必要です。

トレーニングや試合前に、ウォーミングアップをするように、動く前には「体を動かすためのエネルギー源」を十分に摂取し、食事から準備することが大切です。このエネルギー源がなくなってしまうと、「スタミナ切れ」や「集中力の欠如」、「筋分解の促進」などにつながります。

また、トレーニング後には、素早いリカバリーが大切です。トレーニング後、「回復するために必要な栄養素」を適切なタイミングで摂取することで、体は強くなっていきます。トレーニング効果を最大化するためには、トレーニング前後、トレーニング中の栄養摂取も考える必要があります。

 また、食事をすることで怪我や故障の予防にもつながります。
「水分補給」というと、飲み物を補給するイメージが強いかと思いますが、食事も立派な水分補給です。1日3食の食事で約1〜1.5ℓの水分補給ができると言われています。食材にも多くの水分が含まれています。野菜や果物の中身は、90%以上水分で構成されているものが多いです。

また、糖質は体内で水分で結びつく作用があるとされています。私たちの体は、年齢によって差がありますが、約60%が水分で構成されています。さらに、筋肉の75%は水分で構成されています。

体内の水分量が減少すると、足の痙攣や肉離れにつながりやすいとされています。
例えば、「生の牛肉の塊」と「ビーフジャーキー」だと、どちらが、簡単に手で裂くことができますか?ビーフジャーキーの方が簡単に手で裂けますよね。水分を失った筋肉は柔軟性も低下し、大きな衝撃がかかることによって、切れやすくなるため、肉離れなどの怪我につながりやすいです。
これはほんの一例に過ぎませんが、食事をすることで体水分量の維持につながり、
怪我や故障の予防となることがお分かりいただけたのではないでしょうか?

アスリートにおける食事の意義を再度、確認していただき、「なぜ食べなければならないか」をぜひ、考えてみてください。そして、必要性を感じたならば、「現在の食事を振り返り、何か改善できることはないか」と探ってみてくだだい。そして、「できそうなことをまずはなんでもいいので、1つやってみてください。」ちょっとした栄養摂取の意識の差でも、体づくりは少しづつ変わってくると思います。今後、目的やピリオダイゼーション別に、摂取すべき栄養やタイミングなどをまとめていく予定なので、ぜひ、参考にしていただき、できることを増やしていってください。

アスリートが必要な5大栄養素の働き

「炭水化物/タンパク質/脂質/ビタミン/ミネラル」の5つの栄養素を5大栄養素と呼び、それぞれ体づくりやパフォーマンスを発揮する際に重要な働きを担います。目的やタイミングによって、必要な栄養素や栄養量、優先度は変わってきますが、アスリートは、基本的にこの5つの栄養素を過不足なく、バランス摂取することが大切です。5大栄養素の主な働きは、次の図の通りです。

もう少し、簡単な言葉でまとめたものが次の図です。

ビタミンをさらに細かくみていくと、以下の13種類に分類されます。
・脂溶性ビタミン(A・D・E ・K)
・水溶性ビタミン(B1・B2・ナイアシン・B6・葉酸・B12・ビオチン・パントテン酸・C)

また、ミネラルにも、ナトリウム(Na)・カルシウム(Ca)・リン(P)・カリウム(K)・マグネシウム(Mg)・鉄(Fe)・亜鉛(Zn)など、私たちが必要なミネラルが数多く存在します。

ビタミン・ミネラル、それぞれいろんな働きがあり、適切な量を摂取することで、効果を発揮します。ただ、摂取すれば良いというわけではなく、欠乏しても、過剰に摂取してしまっても体内で悪影響を及ぼす可能性があります。

ここまでまとめると、基本的にアスリートは、5大栄養素と呼ばれるものを過不足なく摂取し、
体づくりやトレーニング効果を最大化するために、「準備」と「リカバリー」を継続して行っていくことが大切です。

具体的に、どれくらいの量が必要なのか、そして、どのような食事を行うと、過不足なく栄養素を摂取することができるかなどは、次回お伝えしていきます。

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