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【試合当日を勝ち抜く!】高校野球選手のための食事と補食戦略|時間別・状況別に徹底解説!

2025/05/20

試合当日は“食事の戦略”が勝負を分ける

試合当日は、食べ方ひとつでコンディションが大きく変わります。
朝のスタートから、補食、試合直後の回復まで、「何を、いつ、どれくらい」食べるかがパフォーマンスに直結します。

この記事では、**高校球児の頑張りを支える保護者の方に向けて、そしてぜひ選手本人にも読んでほしい“試合当日の食事戦略”**を、時間帯・状況別にまとめました。

試合当日は「逆算」がすべて|食事計画の立て方

試合開始時間から“さかのぼって”考える

食事は、試合開始時間から逆算してプランを立てるのが基本です。
たとえば、試合開始が9:00なら…

  • 起床:5:30
  • 朝食:6:00
  • 補食:7:30〜(移動中 or 会場到着後)
  • アップ:7:30〜
  • シートノック 8:30
  • 試合開始:9:00

このように、起床からプレーまでの流れを事前にイメージしておくことが重要です。

12時30分試合開始だった場合の例(サポートしている茨城の高校での実際の資料)

「何を、いつ食べるか」の考え方

  • 消化には2〜3時間かかる食事もある(栄養は消化吸収してなんぼ)
  • 起床直後にたくさん食べるのが難しい場合は、2回に分けて摂るのもアリ(睡眠時間も考慮する)
  • 「いつもの朝」と同じ流れで、食べ慣れたものを“いつものように”食べることが、最大のパフォーマンスにつながります(だからこそ、普段から朝食を食べることが重要)

前日の帰宅時間が遅い場合や試合当日のスタジアムまでの移動時間が長く、集合時間がものすごく早い場合などは、試合開始の3時間前くらいまでには、朝食は食べておきたいとはいえ、睡眠時間等を考慮し、無理のない現実的な食事プランを立てることが必要な場合もあります。そういった場合は、移動時間や補食などで必要な栄養素を賄う戦略もあります。

時間帯・状況別|食事と補食の実践ガイド

朝食(起床後〜3時間前)

  • 基本はごはん+主菜+副菜+フルーツ
    • 例:ごはん、鮭、卵焼き、野菜のおひたし、バナナ
  • NGなもの:
    • 揚げ物、脂っこい肉、生もの(お腹を壊すリスク)
  • 食欲がない時の工夫:
    • おにぎり+スープ/ゼリー飲料/バナナなど、軽めに2回に分けてもOK

グラウンドや学校出発前(2時間前)

  • 補食の例:
    • 小さめおにぎり、カステラ、蒸しパン、フルーツなど

移動中や待機中(1〜1.5時間前)

  • 補食の例:
    • バナナ、オレンジジュース

ベンチやロッカー(30分〜1時間前)

  • 補食の例:
    • エネルギーゼリー、スポーツドリンクなど
  • ポイント:
    • 糖質メインで消化の良いものを選ぶ
    • 暑さ対策で冷たいゼリーやスポーツドリンクを用意
    • 食べ過ぎない!「少しお腹が落ち着く程度」でOK

試合直前/途中(アップ後〜ベンチ入り前)

  • 原則、しっかり食べる時間ではありませんが…
  • こまめな水分・塩分・糖質補給がポイント!
    • スポーツドリンク/塩タブレット/エネルギーゼリーなど

補食は“一口サイズ”が勝負のカギ

食べやすさが“食べるかどうか”を決める

  • 補食は、体に必要なものを選ぶだけではなく、食べやすい形状にすることも大切
  • 特に一口サイズのものは、「さぁ食べようか」と迷った時や、時間のない状況でもサッと口に入れられる
  • 小さい補食を、数個持っておくことが、積極的な栄養補給につながります

現場で実際にあった敗戦の教訓

実際、私がサポートしているチームでは、12時30分開始予定の試合が、当日雨やグラウンド整備の影響で、結局16時開始にまでずれ込んだことがありました。

午前中からスタジアムにいる状況で、試合開始時点ではエネルギー不足になっていた可能性もありました。

その試合は延長戦の末、7−8で敗戦。ここまで大きくスケジュールが乱れるとは想定しておらず、私自身の準備が不十分だったことを悔やむ結果となりました。こういう事態も想定されるよと補食の量や内容などをあらかじめ伝えることができていれば、相手より良い準備ができたのになと今でも思います。

サポートしている高校野球チームの選手の実際のお弁当

イレギュラー時の対応(延長・コールド・遅延)

  • 延長戦で長引いた場合:試合中の栄養補給が必要になる可能性
    • ゼリー・スポーツドリンクなど「ベンチで口にしやすいもの」を事前に用意
  • コールドで前の試合が早く終わった場合:
    • 試合状況に応じて、補食を摂取するタイミングを調整する
  • 雨天順延や待機:
    • 冷感・保温可能なバッグに、小分けした補食を複数用意
    • おにぎり、カステラ、バナナ、ゼリーなど“ちょこちょこ食べ”ができるものが◎

*天気予報などをもとに、あらかじめスケジュールの乱れを想定して準備しておくことが大切です。

選手本人に伝えたい、試合当日の「食」の心構え

「不安だから食べない」――それではエネルギーが足りなくなる。
「詰め込みすぎる」――それではお腹が重たくて動けなくなる。

どちらも、いいコンディションをつくることはできません。

だからこそ大事なのは、“いつも通り”の朝ごはんを、いつも通りに食べること
それが、最高の準備につながります。

食べることは、トレーニングや睡眠と同じように、大切な“勝つための戦略”です。
自分の体の声を聞いて、ちゃんとエネルギーを入れてから、試合に臨みましょう。

そのためには、普段からの「準備」と「リカバリー」が何より重要です。
朝ごはんを毎日しっかり食べることも、立派な準備のひとつ。
普段食べていない人が、試合の日だけ急にしっかり食べるなんて、正直難しいと思います。

後悔せず、最後の夏を戦い切るためには、日常生活からやるべきことをやる。
それが、本気で勝ちたい選手に共通する姿勢です。

試合当日、「今日は絶対に勝つ!」と気合いを入れても、
普段の過ごし方がいい加減なら――勝負の世界は、それほど甘くありません。

勝ちたいなら、当たり前のことを、当たり前に続けよう。
その積み重ねが、いちばんの自信とパフォーマンスにつながります。

試合後に負けて悔やんでも遅い。負けるとしても、やり切ったと納得し、前のめりに高校野球を終えてほしい。私は、チャンスで打てず、負けたことが18年経った今でも悔しいです。

保護者ができるサポートとは?

選手が全力でプレーするためには、安心して試合に臨める環境が欠かせません。
その環境づくりの一部を担っているのが、保護者の皆さんの“食のサポート”です。

実は、試合当日の食事準備は、すでに前日、いや1週間前から始まっています。
おにぎりを作る、保冷バッグを用意する、補食の種類を考える…。
そしてなにより、「ちゃんと食べてきたかな」「試合中にエネルギー切れにならないかな」と思いを込めて持たせるその一手間こそが、選手を支える大きな力になります。

試合会場までの移動時間、その日の気温、試合の開始時間や延長の可能性まで――さまざまな要因を想定して、
いつ、何を、どこで食べるか」を考えながら準備するのがポイントです。
保存性や持ち運びやすさに配慮しながら、複数回に分けて食べられるよう小分けの補食を用意しておくと、特に安心です。

また、しっかり準備された食事や補食は、選手にとって**“心の支え”**にもなります。
お弁当を開けたとき、「自分は応援されている」「ちゃんと準備してきた」という実感が、不安を安心に変え、落ち着いて試合に入る力になります。

食事は、技術や戦術と同じくらいの“勝負の武器”。
保護者の皆さんのサポートが、試合のパフォーマンスにも直結しています。

まとめ|食事は「もうひとつの準備」

どれだけ練習しても、どれだけ体を仕上げても、「食べ方ひとつ」で試合当日のパフォーマンスは大きく変わります。

だからこそ、食事は“もうひとつの準備”。
栄養をとることはもちろんですが、**「何を・どれくらい・いつ食べるか」**まで考えることが、勝負の世界では当たり前になっています。

特に、試合当日はスケジュールがタイトで、緊張も重なり、普段通りに食べられないこともあります。
そんなときこそ、**「逆算する力」と「いつも通りの習慣」**がものを言います。

補食や水分補給も含めて、**“戦略的に食べる”**という意識を持つこと。
それが、最後の1プレー、最後の1打席を支える力になります。

選手を支える保護者の方も、試合当日の準備は食事の段階からすでに始まっていると考えてみてください。
そして選手自身も、**「食べることも勝負の一部」**だという意識を、日々の習慣の中から育てていきましょう。

▶ 試合前日の食事記事はこちら:
【試合前の食事戦略】高校野球選手のための1週間前〜前日までの栄養管理法|試合当日の動きを左右する“逆算ごはん”の考え方 - ほりさんの食選択応援Blog

▶ 次回予告:試合後の食事と回復戦略を解説予定!

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私はこれまで、プロ・社会人・高校生など幅広いアスリートに向けて、
全国各地で年間50件以上の栄養セミナーや講演を行ってきました。
ラグビーチームに帯同しながら“試合現場でのリアルな食事設計”を行ってきた経験を活かし、
高校球児や保護者・指導者の皆さんにも、実践的で柔軟なサポートを行っています。

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