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【試合前の食事戦略】高校野球選手のための1週間前〜前日までの栄養管理法|試合当日の動きを左右する“逆算ごはん”の考え方

「前日はカツ丼!」——そんな根性論から、今は**“戦略的な食事”**へのアップデートが求められています。
実は、試合当日だけでなく、1週間前からの積み重ねこそが勝負を分ける要素なんです。

こんにちは、スポーツ栄養士のほりさんです!

私はこれまで、プロラグビーチームに帯同してリーグ戦をサポートしながら、
全国の高校野球部でも栄養支援を行ってきました。

現場で実感しているのは、パフォーマンスの鍵は「準備」と「リカバリー」。
中でも、試合前日の食事だけでなく、1週間前からの食事設計こそが、当日の動きを左右するということです。

この記事では、**高校球児が夏の大会を万全の体調で迎えるための「試合前1週間の食事戦略」**を、
現場で実際に使っているノウハウを交えて、わかりやすくお届けします!

試合の1週間前から始まっている、食事の準備

1週間前〜3日前:いつも通りの食事でコンディションを整える

試合が近づくと「何か特別なことをしなきゃ」と思いがちですが、
この時期に大切なのは、“いつも通り”の食事で体調を安定させること。

具体的には、主食・主菜・副菜・汁物・果物の5点をそろえた、
基本の“定食スタイル”をしっかり続けることがポイントです。

また、トレーニング量や暑さに合わせて、

  • ごはんの量をやや増やす
  • 水分(スポーツドリンクや具だくさん味噌汁)をこまめに摂る

といった小さな調整を加えるだけで、パフォーマンスを落とさずキープできます。

▶ 無理に新しいことをするのではなく、
「“いつも通り”が、いちばんの準備。」
この考え方が、試合に向けたコンディショニングの基本です。

試合1週間前なので、トレーニングの強度を極端に高めることはあまりないと思いますが、
その分、リカバリーを意識して“いつも通りの食事”を心がけることが大切です。

また、「1週間前から糖質中心の食事をとる(旧型のカーボローディング)」という考え方もありますが、
現在では、**2〜3日前から糖質を意識する“改良型カーボローディング”**でも、
旧型と同等のグリコーゲンを筋肉に蓄えられるとされており、体調管理の面からもこちらの方がおすすめです。

もちろん、長距離ランナーなどと比べると、野球は試合当日や試合中の補食などでも対応しやすく、
そこまでシビアに糖質を詰め込む必要はありません

あくまで、“体調を整える”ことが第一優先です。

このフェーズでは、日常の「準備」と「リカバリー」を意識して、今までやってきたことを継続することです。特別な方法はありません。「“いつも通り”が、いちばんの準備。」

2日前の食事|“エネルギーをためる”フェーズへ

糖質を増やし、脂質は控えめに

2日前からは、いよいよ試合に向けた「エネルギーをためる」段階。
ここでの食事のポイントは、**“糖質の確保”と“胃腸へのやさしさ”**です。

具体的な工夫:

  • ごはん・うどん・もちなど、糖質中心の主食をしっかり
  • 揚げ物は控えめにして、蒸す・ゆでるなど消化に良い調理法を選ぶ
  • 主菜は、鶏むね肉・白身魚・豆腐などの脂の少ないたんぱく質
  • 香辛料や刺激物は控えめに
  • 生物は避ける(刺身・生卵etc.)

さらにおすすめなのが、果物や野菜スープなど、“糖質+水分”を同時にとれるメニュー

  • 🍊 みかん・キウイ・スイカ・バナナなどの果物
     → 吸収の早い糖質+水分が一緒にとれる
  • 🥣 具だくさんスープやみそ汁
     → ミネラルも含めた水分補給に◎

▶ 暑さによる体調ダウンを防ぐ意味でも、
食事からの“水分補給”は意識しておきたいポイントです。

このように、**「糖質」+「消化の良さ」+「水分補給」**をバランスよく意識して、
試合当日に向けた“動ける身体”を準備していきましょう!

昔ながらの「1週間前から糖質を詰め込む(旧型カーボローディング)」という方法もありますが、
今は**“改良型カーボローディング”として、2〜3日前からの糖質増加でも十分に筋肉のグリコーゲンは蓄えられる**とされています。

▶ その方が胃腸への負担も少なく、体調を崩すリスクも低いので、
特に高校球児にはおすすめの方法です。

試合前日の夕食|“試合開始時間”を起点に、翌朝・前夜を逆算しよう!

「起床時間 → 朝食 → 前夜の夕食」へと逆算しよう

試合前日の食事は、「何をどれくらい食べるか」だけでなく、「何時に食べるか」も非常に重要です。
そのためには、まず、睡眠時間も考慮し、翌朝の起床時間と朝食の時間を決めることがポイント。

逆算の流れ(例):

  • 試合開始 → 朝9:00
  • 朝食は3〜4時間前 → 朝5:00〜6:00
  • 朝食のためには、前日の夕食を遅くても19:00頃までに済ませたい
    (21時に寝るとしたら)

また、前日は緊張や疲れも出やすいので、糖質中心消化の良さ・食べ慣れた食材の3点が大切です。

食材の選び方おすすめの例
主食ごはん、パン、麺、もち(W主食も◎)
主菜鶏むね肉のソテー、白身魚の煮付け、豆腐ハンバーグ、納豆、茶碗蒸し
副菜温野菜、煮物、みそ汁
果物バナナ、キウイ、みかん、いちご

▶ こうした**“いつもの延長線上”にある献立こそ、試合前のベストメニュー**です。
“いつも通り”が、いちばんの準備。 無理せず、整えることを意識しましょう。

❌ やりがちNG集|よかれと思って失敗するパターン

「試合前日は“勝つ”ためにカツ丼!」
「焼肉でスタミナつけよう!」

…そんな気持ちはわかります。でも、脂っこい食事は消化に時間がかかり、内臓に大きな負担をかけてしまいます。睡眠の質にも影響し、体がゆっくり休まりません。

特にNGなパターンは以下の通り👇

NGメニューなぜ避けたいか
カツ丼揚げ物+ボリュームで胃もたれのリスク大
焼肉・脂の多い肉消化に時間がかかる/睡眠の質も下がりやすい
食べ慣れないメニュー緊張+不慣れな食材=体調を崩す原因に

▶ 食べ慣れた定番メニューを、量・時間・消化のバランスを整えて出すことがベストなサポートです。

試合前日のメニューを考える5つのコツ

試合前日は、特に「糖質+水分」の摂取を最優先にメニューを考えることがポイントです。
以下の5つのコツを押さえれば、食べやすく・効率的に・しっかりと糖質をとることができます。

1. 主食を2つ組み合わせて、糖質強化

ごはんだけでなく、うどんやパンなど異なる主食を組み合わせると吸収スピードがばらけて◎
→ 例:おにぎり+うどん、パン+パスタetc.

2.ごはんがすすむ工夫をしよう

  • 親子丼などの丼ものにする
  • 炊き込みご飯や酢飯で味付きにする

酢には食欲を増進する効果もあり、夏場などにもおすすめです。 ふりかけ・納豆・キムチなど、ごはんが進む“おとも”も上手に使いましょう。

3. いも類・かぼちゃを味方にする

糖質が豊富な「いも類」や「かぼちゃ」も立派なエネルギー源!

  • 肉じゃが
  • かぼちゃのそぼろあんかけ
  • 長芋の煮物やふわふわ焼き

ビタミンやミネラルも一緒に摂れる優秀食材です。ごはんや麺の量をたくさん増やすと気持ちがしんどくなる選手などは、いも類やかぼちゃも副菜でうまく取り入れるとよいでしょう。

4. 汁物や煮物で“水分補給”

水分補給=飲み物だけではありません。 食事からの水分摂取も立派な補給方法。

  • みそ汁
  • 野菜たっぷりスープ
  • 鍋・煮物

栄養素が溶け込んだスープごと摂れるので効率的です。

5. フルーツでリフレッシュ&栄養チャージ

果物は水分・ビタミンC・糖質の補給に最適。

  • おすすめ:いちご、キウイ、オレンジ、柿、バナナ

バナナはエネルギー源としても優秀。手軽に食べられる点も◎

勝負は前夜に決まる!試合前メニューの組み立て方【高校生アスリート向け・保護者/指導者必見】 - ほりさんの食選択応援Blog

📸 実際のラグビー選手の前日の夕食メニュー例

こちらは、実際にサポートしていたラグビーチームの選手が試合前日に食べていた夕食の一例です👇

ラグビーの選手は、試合前日はホテルに宿泊し、ビュッフェ形式で自分で好きなものを選んで食事をすることが一般的です。

食事会場に理想的な夕食のサンプルとして、私が盛り付けた食事例です。

これもサンプルです。上記で述べたポイントが詰まった選び方になってます。

こちらの写真は実際に選手が食べた夕食です。(18時)こちらの選手は、「ごはん・パスタ2種類・そば」と主食からしっかり糖質を補給しているのがわかると思います。緑黄色野菜、汁物を摂取し、足の痙攣の対策もしています。

さらに、果物+ヨーグルト+オレンジジュースを追加していました。すばらしい「準備」ですね!

こちらの選手も「炊き込みごはん+塩焼きそば」の主食を2つ組み合わせてますね。また、緑黄色野菜+汁物と全体的に彩りもバランスも良く食べていますね。35歳を過ぎても長く活躍するヒントがこの写真にあるとは思いませんか?

よく食べますね。笑 「パスタ3種類+パン+炊き込みごはん」で、しっかりと糖質を確保しています!主菜の量もインパクトはありますが、しっかりと野菜も食べていることがわかると思います。

▶ 解説ポイント(まとめ):

  • 主食:ごはん+麺のW炭水化物構成
    → 試合当日のエネルギー源をしっかりチャージ
    → 消化の良いたんぱく質で筋疲労を回復&翌日に備える
  • 主菜:グリル・蒸す・煮るなどの調理法+肉・魚・卵・大豆製品と複数組み合わせる
    →あくまでも糖質最優先。肉ばかりだと消化の負担も増えるので魚や卵、豆腐などをうまく活用するのがベター
  • 副菜:緑黄色野菜、果物(キウイ・オレンジ)
    → ビタミンC・カリウム補給+水分も一緒に摂取できる
  • 汁物:みそ汁
    → 内臓の負担を減らし、体も温める+足の痙攣対策

このように、「時間」+「中身」+「自分に合ったバランス」が整った食事こそ、
勝負当日のベースをつくる“逆算ごはん”です。

「試合のスケジュールから“逆算”して食事を考えよう」

繰り返しになりますが、「何をどれくらい食べるか」だけでなく、「いつ食べるか」も、夏の試合では非常に重要です。

試合前に食べ過ぎて体が重くなったり、朝食が遅すぎて力が出なかったり…
こうしたトラブルの多くは、時間の逆算がうまくできていないことが原因です。

試合開始時間から逆算!食事

試合前日の食事は、翌朝の起床時間から逆算するのが基本……ですが、
実はもっと大切なのは、**「試合開始時間から逆算して、現実的な1日の流れを設計すること」**です。

逆算のポイントは“試合開始時間”!

たとえば、試合が朝9時開始の場合。
そこから逆算して、理想的なスケジュールはこうなります👇

  • 3〜4時間前(朝5〜6時):朝食(主食2つ+主菜+副菜+汁物+果物)
  • 2時間前(朝7時):補食(バナナなど)
  • 1時間前(朝8時):ゼリー飲料+水分補給
  • 30分前〜直前:スポーツドリンクや経口補水液で水分・糖質チャージ

この考え方がベースなのですが、選手によっては通学に1時間以上かかったり、チームによっては朝6時ごろに集合して、少し打撃練習をしてから、スタジムに向かうというパターンもあると思います。(私の高校はそうでした。)そういう場合は、少し内容の調整が必要です。

朝食時間を決めるには、まず「起床時間」を考える

朝食を5時に食べるなら、起床は4時〜4時半
となると、前日の就寝時間は20時台にしないと、睡眠時間が足りなくなってしまいます。

しかし実際は、20時に寝るのはなかなか難しい…
“理想的すぎる栄養計画”が現実的でないこともあるというのが、実際の現場のリアルです。普段から20時に寝て、4時に起きるであれば、問題ないと思いますが、そのような選手はほぼいないと思います。

無理をせず、選手ごとの“現実的な逆算”を

たとえば…

  • 朝食を無理に早くせず、補食でカバーする設計にする
  • 朝練がある場合は「分割食+補食」でリズムを整える

スタジアムまでの移動時間からウォーミングアップまでにどのように糖質を効率よく最大限に摂取できるか。そのような戦略が必要な場合があります。

▶ 大切なのは、「栄養をとること」よりも「体が受け取れるかどうか」。
そのためには、**“試合スケジュールから逆算して、現実的に食べられる時間”**を確保することが、最も大事なコツです。

第2試合や第3試合の場合も基本的な考え方は同じですが、第3試合の場合は、朝食だけでは、必要な栄養素が不足するので、昼食なのか、補食なのか、11時過ぎからの食べる内容や量などを考える必要があります。

🧾 まとめ|勝つための準備は1週間前から始まっている

  • ✅ 試合の1週間前から、栄養バランスの整った食事を安定させる
  • ✅ 2日前からはエネルギー重視、脂質・刺激物は控えめに
  • ✅ 前日は試合スケジュールから逆算して「消化のよい定番メニュー」を選ぶ
  • ✅ 時間を意識した“逆算型の食事設計”が、当日のパフォーマンスを引き上げる

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私はこれまで、プロ・社会人・高校生など幅広いアスリートに向けて、
全国各地で年間50件以上の栄養セミナーや講演を行ってきました。
ラグビーチームに帯同しながら“試合現場でのリアルな食事設計”を行ってきた経験を活かし、
高校球児や保護者・指導者の皆さんにも、実践的で柔軟なサポートを行っています。

  • ✅ 高校球児向けの“試合を想定した食事戦略”
  • ✅ 保護者・指導者向けの“準備・声かけ・食事の工夫”
  • ✅ チームごとの課題に合わせた“個別対応”も可能です!

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